かつて身に降りかかった嫌な出来事。些細な不快感。そうした記憶に何度も苦しめられているという相談者さん。このような状況を改善するにはどうすればいいのでしょうか?
30代男性からの相談:「不快な記憶が脳裏に繰り返される…解決法は?」
『 私には、日常生活に支障をきたすほど悩んでいることがあります。それは、毎日のように不快な記憶が頭の中で繰り返されることです。
これは、別のことを考えたり気分転換をしたりする程度では容易に解消できる問題ではありません。ムダだと分かっていても、繰り返し頭に浮かんでくるのです。イヤでイヤで仕方がなくなっても、まるで嫌がらせのように脳裏に不快な記憶が浮かんでくるのです…こんな状況が一生続くのかと思うと、怖くて仕方がありません。
こういった問題は、「メンタルクリニックで話を聞いてもらう」程度のことで解決できるのでしょうか? 解決不可能な問題のように思えてなりません…。 』
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嫌な思い出から解放されるには
嫌な記憶に囚われてしまったとき、どのようなことが解決に繋がるのでしょうか。専門家にお聞きしました。
『 不愉快な記憶が繰り返され、嫌な気持ちと不安に悩まさているのですね。脳は不思議なもので、考えないでおこう、思い出したくないと思うほど、その考えや記憶にこだわる傾向があります。また、考えたり思い出すことで、その記憶が大切なものであるかのように記憶が強化されてしまうのです。(心理カウンセラー) 』
『 あなたの記憶の内容がどういうものかはわかりかねますが、その画面が浮かんできても、いやだとか怖いという感情で対峙しないことが大切です。過去は過去であり、今起こっているものでもなく、未来に起こるものではないので、現実世界ではあなたを苦しめることはないのです。たぶん、過去の画面が浮かんできたときに、同時に苦しかった感情も一緒も思い出され圧倒されるために、今も苦しい思いになってしまっているのではないかと思われます。(心理カウンセラー) 』
『 過去の事実と感情を切り離す作業は、一人でできる方もいますが、コツが必要です。認知行動療法を行っているカウンセリングルームや精神科などを受診する、またはマインドフルネスなどで「今、ここに意識を向ける」方法を覚えることでも気持ちが解放される場合もあります。(心理カウンセラー) 』
『 まずは、記憶が頭に浮かんだ時に、気持ちを自分の呼吸や動きに集中してみてはいかがでしょうか。考えないのではなく、浮かんだ記憶から自分の体に意識を向けるだけでも、記憶は自然に消えていくようになります。(心理カウンセラー) 』
『 自分自身で無駄とわかっているにも関わらず、繰り返し不愉快なイメージや記憶が浮かんできて、自分では消すことも、どうすることもできない状態を強迫観念といいます。(医師) 』
『 強迫観念は強迫性障害で見られることが多い症状の1つですが、統合失調症などの他の精神疾患でも見られることがあります。強迫観念の治療としては、話を聞くカウンセリングではなく、投薬治療が行われることが多いです。つまり、薬を服用していただき、症状の改善を図っていきます。(医師) 』
『 相談者様が薬を飲むことに抵抗がある方なのかどうかは分かりませんが、強迫観念を治療するには薬が必要です。メンタルクリニックは、話を聞くだけのところではなく、症状に合わせて投薬治療も行いますので、なるべく早くに、精神科もしくは心療内科を受診され治療を受けられることをお勧めいたします。(医師) 』
嫌な思い出は、思い返すからこそ深く、心の傷を押し広げていくものです。変えようのない過去、答えのないあの出来事への対処法は考えることで、問題を複雑化させてしまい意識を持っていかれてしまいます。過去の問題を探ることに心の解放はなく、常に開かれている未来の方向にこそ真の解放はあるのではないでしょうか。