本田圭佑氏に伝えたい「引退選手の40%に精神疾患」というデータ【メンヘラ.men’s】 – エキサイトニュース

「引退選手の40%に精神疾患」


KeisukeHonda(本田圭佑)Twitterより


「自殺」が日本の若者世代(15~34歳)の死因で、依然として第一位を占めることが2017年版の「自殺対策白書」により明らかになった。
自殺者数の総数そのものはピーク時を下回っているが、それでも15~39歳の間の若年世代では依然として死因の第一位であり、特に30歳から34歳までの働き盛りの世代においては24年間連続で「自殺」が死因のトップに君臨している。

ちなみにこうした状況はG7各国の中では日本のみで、2017年「自殺」が若者の死因第一位になったのは日本だけだ。
前述した政府発行の自殺対策白書では、このような状況を「社会をけん引する若い世代の自殺は深刻な状況にある」とし、強い懸念を表明している。


本田圭佑選手「自殺、他人のせいにするな」


さて、このように悲惨な状態にある日本の若者のメンタルヘルス環境であるが、そこに対して一石を投じた著名人がいる。
サッカー日本代表のスタープレイヤーで、海外での経験も豊富な本田圭佑選手(30)だ。

氏は、自身のTwitterアカウントで、5月30日公開の時事通信の記事「若い世代の死因、自殺最多=15~39歳『深刻』―政府白書」を引用しつつ
「他人のせいにするな!政治のせいにするな!!生きてることに感謝し、両親に感謝しないといけない。今やってることが嫌ならやめればいいから。成功に囚われるな!成長に囚われろ!!」 と発言。ネット上で物議を醸している。




本田選手に対するコメントは概ね批判的なものが多く

「自殺するひとの気持ちを全く考えない」
「生存バイアス。自分の成功体験しか見えていない」

など、本田選手の不見識を批難するものが多い。

またネットユーザーのみならず、著名人からの批判コメントも出現。ミュージシャンの米津玄師氏は上の本田選手を引用して「言ってることがよくわからない」とツイート。1万2千回以上リツイートされるなど大きく注目された。


さらに米津氏は知人を自死で亡くした自らの体験から

「自殺した僕の知人は『自分が悪いんだ』『自分のせいだ』と呻きながら死にました。とても真面目で責任感の強い子で、それゆえ人に頼ったり、人のせいに出来なかったんだと思います。他人のわがままや悪意を、自分のせいだと勘違いしたまま、ついにはいなくなりました」

「『人のせいにするな』『政治のせいにするな』という言葉を、死んだ僕の知人が聞いたらどう思うだろう、という想像を止めることができませんでした。恐らくその言葉は彼を著しく傷つけたと思います」

「自殺する人間はこういう人間なんだと決めてかかっている『ように見えてしまう』言動に対して、僕はとても危険だと思いました」

と続いて発言。
自殺者が抱える強い自己責任感情や、自殺に対するステレオタイプな観点にも疑問を表明した。


本田圭佑選手にこそ知っておいて欲しい、スポーツ選手のメンタルヘルス・リスク


さて、これら批判の勢いに乗って本田選手を批判するのは簡単だ。
氏の発言は倫理的にも、医療科学的にも、多くの点で誤っており、その間違いを指摘するのは容易い。 無論それは必要な営為だが、既に多くの人が行っている批判をここで繰り返す必要はないだろう。

なので本稿では、「本田選手にこそ知っておいて欲しいメンタルヘルスの知識」という視点から、ひとつ記事を書いてみたいと思う。
なぜなら自殺のリスクを軽視し、精神疾患を根性論のような観方で考える本田選手こそ、最も精神疾患のリスクに晒されているひとりだと言えるからだ。

2014年のデータだが、FIFPro(国際プロサッカー選手協会)によるこのようなレポートがある。

「現役サッカー選手の26%、引退した選手の39%が精神疾患で苦しんでいる」

という調査結果だ。

このレポートは、オーストラリア、アイルランド、オランダ、ニュージーランド、スコットランド、アメリカの協会からの協力を受け、300名の選手、および元選手を調査したものだ。その結果、現役サッカー選手、元選手ともに、他の集団と比べたところ強い精神疾患リスクを負っていることが判明した。

レポートの簡単な概要を以下に引用しよう。

【現役サッカー選手について】
・調査対象となった180名のプロサッカー選手のうち60%が国内のトップリーグに所属
・26%が抑うつ症状や不安障害、摂食障害に悩まされている
・19%がアルコール依存を報告
・3%が自尊心が低下していると報告
・7%は喫煙の習慣があると報告
・5%が燃え尽き症候群の兆候を報告し、10%が何らかの苦悩を抱えている


現役サッカー選手への調査結果
FIFProのプレスリリース「STUDY: MENTAL ILLNESS IN PROFESSIONAL FOOTBALL」より(2014年4月2日発表)



【元選手について】
・調査対象となった121名のうち65%が国内のトップリーグで大半のキャリアを過ごしている
・39%が抑うつ症状や不安障害に悩まされている
・42%が摂食障害を報告した
・32%がアルコール依存を報告した
・5%が自尊心が低下していると報告した
・12%は喫煙の習慣があると報告した
・15%が燃え尽き症候群の兆候を報告し、18%が何らかの苦悩を抱えている


元選手への調査結果
FIFProのプレスリリース「STUDY: MENTAL ILLNESS IN PROFESSIONAL FOOTBALL」より(2014年4月2日発表)


驚くべきデータと言える。

特に引退選手の

「39%がうつ症状や不安障害」
「42%が摂食障害」
「32%がアルコール依存」

という数字は、通常のおよそ数十倍から数百倍の発症率であり、サッカー選手という稼業がいかに強く精神に負担をかけるものであるかということが、これらのデータからは伺える。

このレポートを受けてFIFPro医療チーム長ヴィンセント・グットバーグ氏は

「サッカーの関係者は、精神疾患に対する偏見を除去する集団的責任がある。現役かどうかに関わらず、全ての選手は精神疾患の症状を管理するためのスキルや行動を学ばなければならない」

とのコメントを発した。

精神疾患、自殺などのリスクは、本田選手にこそ身近なものであり、氏こそが最も警戒し、注意すべきものだったのだ。


メンタルヘルス・リスクは他人事ではない


このように、精神疾患を「他人事」と思っているひとほど、自分自身がそのリスクの沼のただ中に浸っている……というケースは、サッカー選手に限らず一般の組織でもよく見られる現象だ。

「自分は大丈夫」
「うつ病は甘ったれたやつがなる病気」

そんな大言を吐いていたひとが、ある日いきなり精神疾患で倒れた──なんていうのは、誰しも1度は見たことのある光景だろう。

メンタルヘルス・リスクは、誰にでも平等に降りかかる。
健康に気をつけ、ストレス管理を徹底していても「なるときはなる」の精神の病であるし、人生の曲がり角というのはいつ何時やってくるのかわからないものなのだ。

またこの事件は、本田選手ほどメンタルヘルス・リスクのただ中にいる人でも、そのリスクを中々認識できないという、人間の認識力の脆弱さについて考える機会にもなるだろう。
これは他人事ではなく、例えば過労死ラインのブラック労働のただ中にいるひとなどは、なかなか自分の仕事の異常性を認識できないものなのだ。

本件は、本田選手の認識不足を批判して終わるだけでは、生産的ではない…と個人的には考える。メンタルヘルスに関しては多くの人が不注意かつ認識不足であり、自分自身の危うげな足場さえ見えていない人が殆どなのだ。

メンタルヘルスを軽視することは、最悪、死に繋がる。

本稿が、みなさんが自身の心身の健康を振り返る契機になれば著者としては幸いである。
(小山晃弘)

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引用元

「自殺」が日本の若者世代(15~34歳)の死因で、依然として第一位を占めることが2017年版の「自殺対策白書」により明らかになった。自殺者数の総数そのものはピーク時を下回っているが、それでも15~39...

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