医療・健康Tips
心理専門職の国家資格「公認心理師」がスタート
2018年4月10日公認心理師という新しい国家資格ができたことをご存じでしょうか。これまで心理職には国家資格がなく、臨床心理士・心理カウンセラーなど、民間の学術団体・学会等が認定する資格しかありませんでした。一億総ストレス社会といわれるなか、公的な専門職の設置によって、より充実した心のケアが期待できます。
2017年9月15日、公認心理師法が施行されました。2018年中に国家試験が実施される予定で、新たな国家資格「公認心理師」が誕生することになります。心の健康の保持・増進に寄与する専門職で、受験資格は、大学および大学院で心理学を学び必要科目を修了している人、一定期間実務の経験がある人などに与えられます。
公認心理師養成に向けた鳴門教育大学と四国大学の連携について報じた記事=2017年11月29日の毎日新聞徳島県版より
公認心理師は、保健医療、福祉、教育その他の分野において、心理学に関する専門的知識及び技術をもって以下の業務を行います。1)心理に関する支援を要する者の心理状態の観察、その結果の分析
2)心理に関する支援を要する者に対する、その心理に関する相談及び助言、指導その他の援助
3)心理に関する支援を要する者の関係者に対する相談及び助言、指導その他の援助
4)心の健康に関する知識の普及を図るための教育及び情報の提供
現代は一億総ストレス社会といわれて久しく、心の健康問題は子どもから高齢者まで広く重要な課題となっています。2万人を超える自殺者、うつ病など精神疾患にかかる人の増加、虐待や暴力の被害など、学校や企業、地域、医療機関をはじめ、さまざまな場で心理専門職のニーズは高まっています。
国家資格により、一定の資質を備えた心理職が増え、より適切な心のケアが行われることが期待されます。なお、業務内容は現在の臨床心理士とほぼ同じといえます。今後は経験ある民間の資格保持者と共存しつつ、新しい資格の社会的な認知を得ていく必要があります。
心身相関というように、健康は肉体だけでなく精神の状態が深くかかわっています。ときに心の健康は、生命にも影響を及ぼすことがあります。メンタルヘルスケアについては、これからも国全体で取り組まなければならない問題といえるでしょう。
監修:山本晴義(横浜労災病院 勤労者メンタルヘルスセンター長)
「ケータイ家庭の医学」2018年1月掲載より (C)保健同人社
引用元
https://mainichi.jp/premier/health/articles/20180409/med/00m/010/004000c
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