マイナス思考や高いプライド……ストレス耐性が低い人の特徴
ストレス耐性が低い人の特徴やストレスが招く病気を医師に聞いた
ストレス耐性が低い人の特徴やストレスが招く病気を医師に聞いた
私たちは一日に何回、ストレスを感じる機会があるのだろうか。通勤における満員電車、上司からの理不尽な叱責、営業先からの無理な依頼、一向に終わりの見えない残業……。「仕事」に限定しても数多くのストレス要因があるわけで、ここに日常生活を含めたプライベートが加われば、無数にストレス要因が存在することになる。これだけ恒常的にストレスにさらされていれば、いつ心身に不調をきたしてもおかしくない。自分自身の身を守るためにも、何がストレスの原因となり、どのような症状が危険を知らしめる”サイン”なのかなどを理解しておく必要がある。
そこで今回は、精神保健指定医の髙木希奈医師にストレスをためやすい人の特徴やストレスが引き起こす疾患などについてうかがった。
ストレスの原因は無数にある
ストレス要因としてすぐに思い浮かぶものは何だろうか。人間関係や仕事、恋愛、結婚・離婚、家庭生活、育児、受験、いじめ、会社生活、虐待、引っ越し、転職、環境の変化、疲労、過労、不眠、病気……etc. ざっと列挙しただけでも結構な数になるが、「その人自身がストレスに感じれば、ストレスの種類はいくらでもあるのです」と髙木医師は話す。例えば、一般的にポジティブ要素が強い「昇進」も、「環境の変化」という側面から見てストレスになる可能性を秘めている。優秀な成績を残し続けてきた営業マンが、その功績を評価されて課長に昇進したものの、慣れない部下のマネジメント業務にストレスを感じ、本来のパフォーマンスが発揮できなくなるケースもある。
また、本社の花形部署に栄転することになっても、「今の部署は人間関係も良好で居心地がいいのに……」などと心の底から素直に喜べない人もいる。個人個人でストレスの感じ方は千差万別なのだ。
ストレス耐性を判断するための指標
各々でストレスを感じる対象が異なるように、ストレスへの耐性も個人差がある。上司に怒られてしょげてしまう人もいれば、何事もなかったかのようにケロッとしている人もいる。このような場合、反省しているか否かはさておき、後者の方がストレス耐性は高いことになる。「ストレス社会」などと揶揄される時代を生きるには、自分がストレスに対してどれぐらいの抵抗力を持っているかを把握しておくことは重要と言えるだろう。では、具体的にどのような人がストレス耐性が低い(ストレスをためやすい)のだろうか。髙木医師は具体的に以下のような特徴を挙げてくれた。
物事を悲観的・被害的に捉えてしまう
マイナス思考
自分に自信がない
自己否定感が強い
真面目すぎて融通がきかない
完璧主義者
細かい性格
気が短い
自己主張をせず、他人の意見に流されやすい
他人に合わせてしまう
頼まれたら断れない
他人に気を遣いすぎる
人の目を気にしすぎる
プライドが高い
ストレス耐性が高い人は、上記と反対の特徴を持つ。また、ストレスを感じたとしても、それをうまく発散する術に長けている。例えば、「自分の好きなことや趣味を楽しむ」「オン・オフの切り替えをうまくできる」「嫌なことがあっても、それをいつまでもズルズルと引きずらない」など、ストレス対処法が上手であったり、うまくストレスと付き合えたりしているという。
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ストレスが招く病気と危険を知らせる”サイン”
「自分は大丈夫」だと思っていても、知らず知らずのうちにストレスが蓄積されていけば当然、心身に悪影響が出てくる。ただ、そのような事態を回避するため、私たちの体はさまざまな”サイン”を出して危険をいち早く知らせてくれる。具体的には「不眠」「疲労感」「倦怠感」「頭痛」「体の痛み」「肩こり」「動悸」「めまい」「抑うつ気分」「不安緊張」などが出現するケースが多い。ただ、ストレスの出方は人それぞれで、吐き気や嘔吐、めまい、耳閉塞感などの身体表現性障害が出現する場合もある。
ストレス単体では病気にならないが……
これらの”サイン”に気づけなかったり、わかっていながらも対処ができなかったりした場合、うつ病や不安障害といった形で心の病を発病してしまうかもしれない。「精神疾患は、脳内の神経伝達物質の乱れや遺伝素因、環境要因などさまざまな要因が重なったことが発症に関連していると言われます。まだその原因がはっきりわかっていないものがほとんどですが、発症には必ずストレス要因となる事柄があり、それをきっかけに発症したり、具合が悪くなったり、病状が不安定になったりする場合がほとんどです」
ストレスを含む複合的な要因が絡み合い、発病につながる。上記に記したストレス蓄積時の兆候に限らず、原因が思い当たらない心身の不調が続くようならば、ストレスを疑ってみるのもいいかもしれない。
コップ半分の水をどう感じるのか
あなたは水が半分入っているコップを見て、「半分も水が残っている」と思う人だろうか。それとも、「半分しか残っていない」と感じる人だろうか。短絡的に見れば、前者の考え方は「ポジティブ思考」、後者の場合は「ネガティブ思考」ととらえることができる。ある事象に対する感じ方や物事のとらえ方は個々人によって異なり、その人の思考や育ってきた環境に起因する部分も少なくない。本当に自分にとって不快なストレス要因からは距離を置くことを最優先とすべきだろう。だが、そこまででもない場合は、そのストレス要因に対する認識を変えてみるのも対策の一つ。自分の認識や思考をいきなり変えることは難しいが、徐々にでも変えていければ、今はストレスと感じていることがとても些末なものになる可能性もある。
蓄積したストレスの発散を対症療法とするならば、そもそもストレスを感じないようにするのは原因療法にあたる。ストレスで病気にならないためにも、「認識を変える」という行動の重要性をしっかりと覚えておいてほしい。
※写真と本文は関係ありません
取材協力: 髙木希奈(タカギ・キナ)
精神保健指定医、日本精神神経学会認定専門医、日本精神神経学会認定指導医、日本医師会認定産業医。長野県出身。聖マリアンナ医科大学卒業。現在は、精神科単科の病院で精神科救急を中心に急性期治療にあたっている。また、産業医として企業にも勤務している。著書に『あなたの周りの身近な狂気』(セブン&アイ出版)、『間取りの恋愛心理学』(三五館)、『精神科女医が本気で考えた 心と体を満足させるセックス』(徳間書店)、電子書籍『女医が教える飽きないエッチ』(App Store、Kindle)など。趣味は、海外旅行とスキューバダイビング。オフィシャルブログはこちら。
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引用元
私たちは一日に何回、ストレスを感じる機会があるのだろうか。通勤における満員電車、上司からの理不尽な叱責、営業先からの無理な依頼、一向に終わりの見えない残業……。「仕事」に限定しても数多くのストレス要因があるわけで、ここに日常生活を含めたプライベートが加われば、無数にストレス要因が存在することになる。
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