広汎性発達障害のひとつ、アスペルガー症候群。大人になってから気づく人もいるほど、本人でも気づきにくい障害です。アスペルガー症候群の症状をご紹介します。
アスペルガー症候群は、障害がわかりにくい
発達障害は、大きく「広汎性発達障害」「注意欠陥・多動性障害」「学習障害」の3つに分けられます。アスペルガー症候群は、自閉症とともに、広汎性発達障害のグループに含まれるもの。
2013年のアメリカの精神医学会による発表では、自閉症の一部として捉えるという方針になっており、今後はアスペルガー症候群という病名による診断は減っていくと考えられます。
アスペルガー症候群とは、知的障害はないのですが、コミュニケーション障害、対人関係や社会性の障害、パターン化した行動・興味・関心のかたよりが特徴です。自閉症のように幼児期に言葉の発達の遅れなどがないため、障害があることがわかりにくく、成長するとともに困難な事柄がはっきりしてきます。
残念ながら、現代医学ではアスペルガー症候群の原因は不明です。遺伝要因や環境要因が関係していると言われていますが、根本的治療はありません。しかし、本人が困難とする社会生活に対して、スムーズに対処するようにリハビリや訓練を受けることによって、困難や生きづらさを軽減することはできます。
アスペルガー症候群のセルフチェック
前述のように、アスペルガー症候群は、障害があるかどうかわかりにくく、本人も自覚していない場合があります。下記に、アスペルガー症候群の人によく見られる特徴をまとめました。当てはまる項目が半分以上ある人は、アスペルガー症候群の可能性が高いかもしれません。ただし、これはあくまでも簡易的なチェックです。気になる人は、発達障害を専門とする医療機関で診断を受けましょう。
・わかりやすい指示がないと動けない
・その場の空気を読んだ発言や対応が苦手
・冗談が通じない
・好きなことは集中してやり続けたり、話し続けたりする
・スケジュールの管理が苦手
・自分の興味ないことには対応できない
・新しい環境だと臨機応変に動けない
・だまされやすい
・名前を呼ばれないと自分だと気づかない
・相手の気持ちを察することができず、傷つけるような言葉を言う
・無意味な日課、儀式のような行動に執着する
・意味のない行動を反復的に繰り返すことがある
専門の医療機関では、主に問診を行います。小さな子供が病院にかかる場合は、親が子供の状態をよく観察し、医師に伝える必要があります。問診以外には、心理テストや知能テストを実施します。また、大人の場合には、本人が普段の生活で困っていること、日常生活、得意なこと、そのほかの病気や、子供の頃の様子や病歴などを聞きます。アスペルガー症候群が疑われる場合は、心理検査や生理学的検査も行われます。総合的に診断するため、一度の受診で診断されることはほとんどありません。慎重に診断する必要がある障害のため、診断には時間がかかることを理解しておきましょう。
執筆:月刊『からだにいいこと』編集 -株式会社からだにいいこと
引用元
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