オンラインに特化した心の相談サービス「Reme(リミー)」を運営するNOMALは神奈川大学と共同で、経験サンプリング法を活用したメンタルヘルスのセルフケアに関する研究を開始した。経験サンプリング法とは、日常生活を送っているユーザーに対し、一日数回、定刻もしくは無作為な時刻における測定を実施する手法。通院など場面を設定してのメンタルヘルスケアでは、日常場面で突発的に出現するフラッシュバックや強迫観念などへの直接的な対処が難しい。経験サンプリング法活用で、日常的な測定が実施できればうつ病・神経症など精神疾患でのこうした症状の軽減につなげられる。
経験サンプリング法は効果が立証されているにも関わらず、被験者一人ひとりに高価な測定デバイスを配布することへの敷居の高さから、1970年代に開発された同手法に関しての研究は最近になるまで活発に行われているとはいえなかった。情報技術の発達により、だれもが測定デバイスとして活用できるスマホを所持する時代になり、研究が格段に行いやすくなったことで、ここ数年での同手法に関する論文が急増している。ただし日本においては研究事例がまだ少なく、同研究では経験サンプリング法を誰でも活用できる身近なものにする狙いもある。ライフログを収集することで日常生活での疾患症状出現傾向や治療効果を把握、生活リズムに合わせたメンタルヘルスのセルフケアが、スマホから行えるようになる。
日本において社会問題にもなっているうつ病患者の増加(15年間で約3.5倍)に対処するために、国を挙げたメンタルヘルスケアへの啓蒙が進められている。2015年12月に施行されたストレスチェック義務化法の影響もあり、職場におけるメンタルヘルス対策として、外部機関のメンタルヘルスケアサービスを導入する企業も増加している。自らの精神的不調に気付かせ精神疾患に陥るのを未然に防ぐための一次予防支援、不調者に対して相談の機会を提供する二次予防支援、精神疾患が原因で休職する従業員への職場復帰支援を行う三次予防支援などを総合的に提供する優良サービスが数多く登場しているが、不調者自らが相談サービスを活用するハードルはまだまだ高い。誰もが手軽に使えるサービスの普及が課題となっており、ライフログをそのままメンタルヘルスケアに活用できる、同研究内容実用化への期待は大きい。(編集担当:久保田雄城)
引用元http://economic.jp/?p=69323
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