福井のニュース 特集・福井のドクター相談室
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(2016年10月20日午前10時30分)
3年以上、夜勤の仕事をしています。血圧が年々上昇傾向にあります。最も悪い時で140〜150ありました。体格は中肉中背。出勤時間が昼から夜にかけてと不規則なため、食生活が乱れがちなことも原因の一つかもしれません。職場では多少のストレスもあります。いつか大病を患わないか心配です。夜勤労働者でも可能な病気予防、高血圧対策などあれば教えてください。(福井県小浜市、40代男性)
【お答えします】青山隆彦 福井県立病院脳心臓血管センター 循環器内科主任医長
■高血圧症、日勤の3倍以上
血圧は、体位、精神身体活動、睡眠・覚醒、気温、摂食などの因子によって変化しますが、基本的には夜間に低下し、昼間に上昇するパターンです。この変動パターンは体内時計により血圧の日内変動が形成されており、通常夜間血圧は昼間血圧と比較して10〜20%低下します。
お尋ねの方は夜勤生活をされており、本来寝ている時間に起きて作業をしています。通常の体内時計と合わず、身体が混乱してしまい、うまく眠れなかったり、眠気が残ったりといったことが起こります。睡眠障害を原因とする健康障害の代表的なものとして、高血圧症や心筋梗塞などの循環機能障害、肥満や糖尿病などの脂質代謝機能障害などが挙げられます。中でも夜勤が原因と考えられる高血圧症は比較的若い時期から発症しやすく、発症の危険率は日勤者の3倍以上となっています。
■仮眠で身体負担軽減
また、職場環境のストレスは、交感神経系に作用して腎臓での食塩の排泄を抑制したり、過食やアルコール摂取量や喫煙量の増加などライフスタイルの変化をきたしたりして高血圧の発症を促進させます。
睡眠は体内時計によって支配されたリズム現象であり、夜勤で高血圧にならないための一番の対策は仮眠です。仮眠を2時間とると、身体への負担がかなり軽減されることが明らかになっています。2時間も仮眠がとれない場合でも、少しでも仮眠した方が血圧の上昇を妨げてくれます。
夜勤後にスムーズに眠りに入り、ぐっすりと質の高い睡眠をとるためには、帰宅時にはサングラスをして「光」を避ける工夫をし、また眠る前には▽軽い運動をする▽入浴をしてリラックスする▽カフェインやたばこを控える―ことも有効です。減塩による降圧効果は明らかですし、塩分を控えることが大事です。
職場環境のストレスを軽減するのは容易ではありませんが、休日や日勤の際には、日中にできるだけ自然光を浴びたり、体を意識的に動かしたりして生体リズムをリセットすることもポイントです。
血圧の変動については、上腕での家庭での血圧測定が大切です。朝と就寝前測定で135/85以上ある場合は、家庭血圧の記録を持参しかかりつけ医を受診してください。
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