反復性うつ病性障害/反復性短期抑うつ障害
F33 反復性うつ病性障害 Recurrent depressive disorder
反復性短期抑うつ障害 Recurrent brief depressive disorder
疾患の具体例
41歳、女性。子育ても一段落したことから、パート勤めを始めました。しかし、予想以上に忙しくてミスが続き、「自分は何をやってもだめだ」「みんなに迷惑をかけている」と悩むようになりました。さらに、子どもの世話をする必要もなくなったことから、「生きている価値がない」と思い詰め、食欲は落ち、夜は眠れず、朝は布団から出られなくなってしまいました。精神科クリニックを受診すると「うつ病」と診断されました。治療を受けることで回復し、元通り元気に活動できる時もありますが、半年ほどすると再びうつ病になります。何度か、そうした症状を繰り返したことから、主治医は「反復性うつ病性障害」と診断名を変更しました。
症 状
文字通り、うつ病を繰り返す障害です。基本的な症状はうつ病と同じで、抑うつ気分、興味と喜びの喪失のほか、活力が減退して疲れやすくなったり、活動性が低下したりします。
うつ病1回あたり3ヵ月~12ヵ月間は持続(持続期間の中央値は約6ヵ月)します。
うつ病を比較的短期(2週間以下)で繰り返す場合は、「反復性短期抑うつ障害」と診断されます。反復性短期抑うつ障害は頻繁に気分が変化するため、一定の周期でうつ病相が起きるうつ病害に比べ、生活がより乱されたり、無秩序になったりすることがあります。
なお、症状を繰り返す点では双極性障害と似たところがあるとも言えます。しかし、双極性障害に比べると反復の頻度が少ないとされています。また、反復性うつ病性障害は、躁病の診断基準を満たすほど明らかな気分高揚や、過活動性が見られません。それらが認められる場合は、双極性感情障害と診断されます。軽躁病くらいの短期間の気分高揚や過活動性であれば、反復性うつ病性障害に該当します。
特 徴
うつ病の発症年齢や、重症度、持続期間や頻度はさまざまです。一般に、最初にうつ病になるタイミングは双極性障害より遅く、平均40歳代であると言われています。多くの文化圏において、女性のほうが男性より2倍多く見られます。
反復性短期抑うつ障害は、アメリカでも包括的な疫学研究が行われておらず、詳しい発症年齢などはわかっていません。現在、使用できるデータで見た範囲では、若年成人に多く見られることが示唆されています。20代の10年有病率は10%、一般人口の1年有病率は5%と推定されていますが、さらなる研究が必要とされています。
原 因
反復性うつ病性障害は、症状の重さに関係なく、ストレスフルな生活上の出来事によって誘発されます。また、反復性短期抑うつ障害は、健常者と比較していくつかの生物学的異常が見られるという研究があります。コチゾールというホルモンを調べる検査で抑制が認められないこと、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモンに対する反応が鈍いこと、眠り就くまでの時間が短縮していることなどが挙げられます。
予 後
通常、反復性うつ病性障害は、うつ病とうつ病との間は完全に回復します。しかし、少数の患者さん(主に高齢者)ではうつ病が長引くこともあります。反復性短期抑うつ障害の予後は、はっきりわかっていませんが、大うつ病性障害と似ているとされています。
治 療
反復性短期抑うつ障害の治療は、うつ病の治療と同様です。標準的な抗うつ薬による薬物療法や、精神療法などを中心とします。また、リチウム(リーマス)や抗けいれん薬など、双極I型障害の治療薬のいくつかが治療的価値があると考えられています。
診断基準:ICD-10
記載なし
診断基準:DSM-5
(反復性短期抑うつ)
抑うつ気分および4つ以上の他のうつ病の症状が同時に、少なくとも月に1回(月経周期と関連せず)、2~13日の間、連続する12ヵ月以上にわたって存在するが、他のどの抑うつ障害または双極性障害の基準も満たさず、また現時点でどの精神病性障害の活動性または残遺性の基準も満たさない。
※参考文献
『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』(医学書院)
『ICD-10 精神および行動の障害 臨床記述と診断ガイドライン(新訂版)』(医学書院)
『カプラン 臨床精神医学テキスト』(メディカルサイエンスインターナショナル)
引用元
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Exclusive Counselling & Consulting service
コンパス心理士 カウンセリング相談事務所
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班目幸寛(まだらー)
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