うつ病は、「楽しかったことが楽しめない」など気分の落ち込みが2週間以上続くと疑われる精神的な病である。精神状態だけでうつ病を判断するのは難しいので、睡眠障害と自律神経失調症のような症状が続くとうつ病を疑ったほうがいい。睡眠が十分にとれなくて、体のあちこちの調子が悪い場合は、うつ病が隠れている、いわゆる“仮面うつ病”である可能性がある。
睡眠障害には寝つきが悪いという「入眠障害」、夜中に何度も目が覚める「途中覚醒」、遅く寝たのに午前5時くらいに目が覚めてから寝られない「早朝覚醒」がある。もちろん、寝つきが悪く、途中何度も起きて最後は午前5時から寝られないという3つのパターンが混ざることも多いだろう。
睡眠状態が深刻なだけでもうつ病を疑う必要があるが、それに頭痛、めまい、耳鳴り、口の渇き、動悸、肩こり、腰痛で、胃腸の調子が悪い、冷え性やのぼせなどの更年期障害に似た症状がある場合はかなり疑わしい。
いろいろな症状がある割に、検査でははっきりした原因が見つからない。例えば、頭痛が激しいのでCTやMRIなどの検査をしてもよくわからない場合は、メンタルストレスが原因である可能性が高い。睡眠が悪く、原因の分からない症状が3つ、4つあり、いろいろな治療で回復しないようなら、一度心療内科や精神科を受診したほうがいいかもしれない。
残念ながら、うつ病の原因はいまだにはっきりわかっていないが、脳内のノルアドレナリンやセロトニンなどの神経伝達物質が少なくなってきたことが主な原因と考えられている。これらの物質は脳の一部で活動しているので、採血をしてもどれほどあるのかよくわかない。現在、血液や画像でうつ病を客観的に診断しようと試みられているが、決定的な指標はまだつかめていない。
セロトニンなどの神経伝達物質が減る主な原因はストレスである。特に「気を遣う」とか「気を配る」という言葉が示すように「気=セロトニン」と考えると減る原因がわかりやすい。情報過多で過重労働が常態化している現在では真面目で、責任感が強く、気を使いやすい人がうつ病になりやすいわけである。
気の遣い過ぎでセロトニンなどが減ってくると、まずは自律神経が乱れて体調が悪くなる。多くの人はこのような時に休憩するので大事には至らないが、頑張り屋さんは無理をするのでうつ病になりやすい。
薬を服用してしばらく休息すると、少しずつ元気が出てくるが、頑張り屋さんはこんな時でも「休んで迷惑をかけた」との思いが強く、全力で頑張ろうとする。脳内のセロトニンなどが十分回復していない時に頑張るとすぐにダウンするのは当然である。
うつ病治療のコツは元気が少し出てきたときに7割くらいのペースでゆっくり仕事を始めることである。十分気力がみなぎって薬が必要でなくなっても、過重労働が続くと再びセロトニンなどが不足してうつ状態になる可能性はある。それを再発と呼ぶことも多いが、働き方や意識を変えない限り完治は難しい。
自分の思考や行動パターンを変えることをざっくりと「認知行動療法」と呼ぶ。うつ病の治療は薬物療法と認知行動療法を組み合わせることが基本であるが、忙しい臨床現場では薬物療法が中心にならざるを得ない。
きっちりとした認知行動療法を受けることができなくても、うつ病を克服して再び頑張ろうと考えるよりも、しばらく付き合っていこうと考える方が気は楽だろう。
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【プロフィル】石蔵文信(いしくら・ふみのぶ) 昭和30年、京都市出身。内科、循環器科専門医。大阪樟蔭女子大健康栄養学部教授。三重大医学部卒業後、国立循環器病センター、大阪警察病院などに勤務。米メイヨークリニックへの留学後、大阪大学大学院医学系研究科准教授を経て現職。平成13年より大阪市内で「男性更年期外来」を開設し、中高年の心と体の専門家として丁寧なカウンセリングと治療に定評がある。「親を殺したくなったら読む本」など著書多数。
引用元
うつ病は、「楽しかったことが楽しめない」など気分の落ち込みが2週間以上続くと疑われる精神的な病である。精神状態だけでうつ病を判断するのは難しいので、睡眠障害…
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