実は、この世の中には、軽度知的障害を抱えていることに気づかないまま、社会生活を送っている人がたくさんいることをご存知でしょうか。健常者に比べると、やはり不得意なことがたくさんあります。もしも周りに軽度知的障害の人がいたら、早くそれを理解し、サポートしていくことが大切です。今回は軽度知的障害の特徴、原因、将来や、軽度認知障害との違いについてまとめました。
軽度知的障害の特徴は知的障害の特徴と違う?
軽度知的障害をご存知でしょうか。名前のとおり、知的障害の中でも、比較的健常者に近いレベルのものです。とは言うものの、健常者に比べると、上手くいかないことがたくさんあります。軽度であるが故に、気づかれないまま大人になり、社会生活で苦労している人もたくさんいらっしゃるのが現状です。
少しでも、軽度知的障害のことを理解し、周りにそのような人がいたら、サポートしていくことが大切です。早速、特徴や症状から紹介します。
IQ50~69と、健常者に近い知能
知的障害は、IQによっていくつかのランクに分けられています。同じ年齢の人の平均IQが100の場合、以下のように分けられています。
・IQ70~80(85)…ボーダーライン
・IQ50~69…軽度知的障害
・IQ35~49…中度知的障害
・IQ20~34…重度知的障害
・IQ20未満…最重度知的障害IQは、成人では知能検査、幼児では発達検査を行って判定します。知的障害は、8割が原因不明であると言われています。軽度知的障害は、知的障害の中では最も軽い部類に入ります。軽度知的障害は、知的障害の全体の8割を占めるとも言われています。
幼児期には発見されにくい
軽度知的障害の場合、幼少期には発見されにくいと言われています。幼少期に発見されなかった場合、大人になって、うつ病などの二次障害がきっかけとなって気づく人も多いのだとか。なんとなく、子供の頃に違和感を感じていたという人も多くいるようです。
軽度の知的障害の場合、ぱっと見では判断できないため、二次障害を起こすまで気づかない、という人も少なくありません。
本人も周囲の大人も、知的障害であることに気が付きにくいのですが、軽度知的障害の中でも、中度知的障害に近い人であれば、小学校に入学し、勉強するようになったときに発覚することもあります。
知的能力は小学校高学年くらい
先ほどIQを基にしたランク付けを紹介しましたが、成人におけるIQ50~69というのは、大体精神年齢に換算すると、7歳半~11歳3ヶ月くらいになるそうです。成人しても、小学校5年生、6年生くらいの知能にとどまるということが多いと言われています。
しかし、軽度知的障害といっても、中度知的障害に近い人から、ボーダーにぎりぎり届かないくらいの人まで、幅がありますので、知的能力にも幅があると考えられます。
知的障害は軽度である
ここで、軽度知的障害の人の特徴をいくつか紹介します。
・感情のコントロールが苦手
・理解力や表現力が乏しい
・物事を理解するのに時間がかかる
・複雑な意思決定が苦手
・自分の気持ちを表現するのが苦手
・素直で、他人の悪意に気づきにくいため、だまされやすい面があるなどです。軽度知的障害の人は、ぱっと見障害を抱えているようには見えないほど、知的障害は軽度であるとされています。しかし、やはり不得意なことはたくさんあります。場の雰囲気をある程度読めたり、他人と自分を比較したり、簡単な計算をしたりすることができると言われています。
日常生活は普通の場合がある
軽度知的障害は、気づかれにくいと先ほどお話ししましたが、普通に日常生活を送ることができることも、気づかれにくい原因の1つであると言えます。金銭管理や読み書き、計算なども、単純なものであれば理解することができます。
1.染色体の異常
軽度知的障害の原因として、染色体異常による知的障害が考えられます。代表的なものとして、ダウン症があります。染色体の異常である場合、身体奇形を伴うことも多いため、出産直後に判明することも多いそうです。
身体発達に異常が見られない場合には、乳幼児の発達課題を乗り越えることができず、少しずつ明らかになることがあります。
2.妊娠時のトラブル
妊娠前・妊娠時の原因
親が、フェニルケトン尿症やテイ・サックス病、甲状腺機能低下病などの遺伝性疾患を抱えている場合や、染色体の異常がある場合、子供の軽度知的障害の原因になることがあると言われています。
妊娠中の原因
妊娠中の原因としては、まず、母体が重度の栄養不足・低栄養にあることが考えられます。妊娠中にも、太るのが嫌だからと無理なダイエットを続けていませんか?妊娠中は、生まれてくる子供のためにもしっかりと栄養を摂りましょう。
また、母体が感染症にかかっていることも原因として挙げられます。たとえばHIVやサイトメガロウイルス、単純ヘルペスウイルス、トキソプラズマ、風疹ウイルスへの感染です。バランスの良い食事を心がけたり、予防接種を受けることで防げる感染症もあります。
また、外出時にマスクをしたり、うがいや手洗いを徹底するなどの対策もしっかりと行いましょう。その他、以下のことが考えられます。
・アルコール、たばこ、鉛など
・服用している薬
・妊娠高血圧腎症
・多児妊娠3.乳幼児期の感染症や頭部外傷
いわゆる、知的障害を起こす病理的要因と言われるものです。乳幼児期に、脳に何らかの病気または損傷があり、知能のはったうが妨げられるというものです。たとえば、乳幼児期の脳外傷、感染症、出血、出産の際の障害などです。
また、母体の中にいるときに、母親が風疹や梅毒などの感染症にかかることや、有機水銀など、体外から侵入した有害物質によることもあります。このような病理的な要因があることもあれば、体には特別の異常が見られないものの、脳の発達障害によって知能が低い水準に偏ることもあると考えられています。
4.ほとんどが原因不明
異常、考えられる原因を紹介しましたが、全人口の1~3%が知的障害を抱えていると言われる世の中で、知的障害の8割は原因が不明です。原因が特定できるのは2割にとどまります。
子供がお腹にいるときに、色々と気を付けることはもちろん大切ですが、生まれた子供が軽度知的障害であるとわかっても、あきらめることなく適切にサポートしていくことで、しっかりと成長していくことは確かです。
訓練次第で自立可能
先天性代謝異常などの病気が原因である知的障害の場合、早期に病気を発見して、病気それ自体の治療を行うことで、知的障害が防げる場合もありますが、原因不明の知的障害に関しては、基本的には一生治りません。
成長とともに、知能が周りに追いつくこともあれば、逆にどんどん遅れてしまうこともあります。それは、本人が持って生まれた能力ですので、どうなるかはわかりません。
しかし、軽度知的障害の場合、訓練をすることで社会性やコミュニケーション能力を高めることで、少しずつ社会に適応できるようにすることはできます。
困ったときにどう表現すればよいのか、周囲とのかかわり方など、通常であれば自然と身に着けるスキルを、訓練によって習得させる必要があります。そのためにも、早いうちから軽度知的障害を抱えていることを認識し、色々な体験をさせることが大切です。
社会で自立するうえで、一番大切なことは、社会に適応する力や、コミュニケーション能力を養うことであると言えます。軽度知的障害であるとわかった場合、専門家に相談して訓練の仕方を考えるのも一つの手でしょう。
運転免許を取得できる
運転免許では、知的障害の有無は問われません。運転に必要な知識と技能があれば、軽度知的障害であっても運転免許を取得することができます。
学科試験で、問題を読んで理解できる程の学力さえあれば、免許の取得自体は問題ないといえるでしょう。実際に、軽度発達障害を抱えながら、二種免許を取得している人もいらっしゃるそうです。
ただ、最近の学科試験は引掛け問題が多いので、1回で試験に合格することは難しいことがあります。何度も何度も受けて、やっと合格する人が多いようです。
運転免許を取得できるということは、社会的に自立することにもつながりますし、職業選択の幅も広がることになるでしょう。しかし、免許を取得している以上、健常者と同じような社会的責任が問われます。
軽度知的障害の場合、信号や標識は理解できても、とっさの危険を判断することができない可能性があります。出かけるときは、念のためガイドヘルプを頼むのが良いかもしれませんね。
一般枠で働き、結婚生活を送ることが可能
軽度知的障害の人の中には、一般枠で働いていたり、幸せな結婚生活を送っている人がたくさんいます。その中には、大人になるまで軽度知的障害に気づくことなく、成長して社会生活を送っている大人もたくさんいます。
軽度知的障害の知能は、小学校高学年ほどであると言いましたが、日常生活は普通に送ることができますし、家族を持つことも充分可能です。技能を習得することも、難しい内容でなければ不可能ではありません。
しかし、突発的な出来事などの対処が苦手であることが多く、社会の波にもまれ、ストレスが溜まりやすい傾向にあります。適切な指導や援助をしていくことが重要なのです。小学校、中学校ともに普通学級であった場合、普通高校に進学する人もいます。
普通高校でなくても、定時制孝行や、通信制高校に通うなどして、高校を卒業するということも考えられます。そのまま、一般枠で就職することも可能です。
また、就労支援を受けて就職することも一つの手です。できるだけ社会参加をできるように、早いうちから訓練をして、社会適応能力を上げておくことが大切なんですね。
軽度知的障害と似ている
軽度認知障害とはMCIとも呼ばれるもので、日常生活が普通に送れることや、とっさの判断が鈍くなってしまうことなどで軽度知的障害とも似ていますが、軽度認知障害には知能障害がないということもあり、両者は別物です。軽度認知障害と診断されるときの基準としては、以下の5つがあります。
1.本人や家族から記憶障害の訴えがある
2.年齢や教育レベルの影響のみでは説明できない記憶障害がある
3.日常生活には問題がない
4.全般的な認知機能はおおむね正常
5.認知症ではない脳の損傷で発症
軽度認知障害が引き起こされる原因として、脳梗塞や脳出血など、脳の血管障害によって起こることが考えられます。脳の血管が詰まっている梗塞巣が増えたり、大きくなったりすると徐々に脳の機能が低下する、というものです。
この血管障害は、生活習慣病が原因で引き起こされると言われています。高血圧や高脂血症、糖尿病などにならないことが予防に繋がるとされているため、生活習慣の改善が重要です。この脳血管障害を早期に発見して治療することで、症状の進行を抑制できる可能性があります。
知能障害はなし
軽度認知障害は、認知障害はあるものの、知能障害はないと言われています。軽度認知障害は、健常者と認知症の中間にあたります。記憶、決定、理由付け、実行などのうち、1つの機能に問題は生じているものの、日常生活には支障がない状態のことです。
認知機能に障害
軽度認知障害という名前のとおり、認知機能に軽度の障害があります。軽度認知障害を放置していると、5年間で約50%の人は、認知症へとステージが進行すると言われています。具体的な症状をいくつか紹介します。
・昔から知っている物の名前が出てきにくい(代名詞を使って話す事が増える)
・最近の出来事を忘れることがある(すぐ前のことを忘れていることがある)
・最近のニュースやみんなが知っている話題についていけない事がある
・積極性が低下する
・約束を忘れる(集合の日時を間違える事がある)
・道に迷う
・同じ話を何度も繰り返すこれらの症状がみられたら、軽度認知障害である可能性があります。現在、認知症は進行を遅らせることはできても、ほとんどの場合完治することはないと言われています。
なので、その前段階である軽度認知障害のときに、認知機能の低下にいち早く気づき、予防対策を行うことで、症状の進行を阻止することはとても大切であると言えます。適切な対策を行うことで、軽度認知障害になったとしても、認知症の症状が最後まで出ずにすむケースもあるそうです。
いかがでしょうか。軽度知的障害は日常生活は普通に送ることができ、大人になるまで気づかれないことも多いけれど、やはり健常者と比べると不得意なものが多くあります。軽度知的障害の方の特徴として、とても素直である、ということがあります。とても純粋な心を持っている分、傷つきやすい面もあります。
気づかれないまま社会に出て、上手くいかないことが多くいために、「自分は人よりも劣っている」と自分を責めてしまわないように、できるだけ早いうちに軽度知的障害に気づき、社会で自立するために訓練していくことが大切であると言えるでしょう。
引用元:
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