脳を変えるスマホ依存症の怖さ 10代の自殺率にも影響か
12.14 15:00Forbes JAPAN
自分がスマートフォンをはじめ、テクノロジーに依存しすぎているのではと考えることがある人は、多いに違いない。グーグルのウェブトレンド解析ツール、グーグルトレンドによると、「スマホ依存症」の検索件数はここ5年間で着実に増加している。また、「ソーシャルメディア依存症」を検索する人も同様に増えている。
興味深いことに、これら二つの依存症は、密接に関連し合っている。若者たちの間では、さらにその関連性が強い。そうした中で特に懸念されるのは、これらが精神的な健康に対する深刻なリスクであるということだ。
米国で行われ、2015年に発表された研究結果では、スマホの使用を一時的に止められた若者たちが「(依存性薬物の)離脱症状」を見せ、知的作業に支障が出たことが確認された。心拍数の増加や血圧の上昇といった生理的な変化が見られたほか、「拡張自己」であるスマホが手元にないための喪失感も報告された。
また、今年11月には、10代の若者の間に近年、うつ病と自殺が増加していることについての研究結果が発表された。米疾病対策センター(CDC) によれば、うつ病の患者と自殺者は2010~15年にいずれも増加していた。特に、10代女性の自殺率は5年間で65%上昇。重度のうつ病になる女性は、58%増えていた。
スマホを毎日5時間以上使っている若者たちの約48%は、自殺について考えたことがあるか、またはその計画を立てたことがあった。それに対し、使用時間が1日当たり1時間の場合、こうした考えを持った、計画した、という人は28%だった。スポーツや宿題をする、友人と実際に会う、教会に行く、などに時間を多く費やしていた若者たちは、うつ病と自殺のリスクがどちらも低かった。
問題は、この年代の若者たちは数十年前の10代のように電話で話をすることがなくなっているということだ。その代わりに彼らは、インスタグラムやスナップチャットを使っている。多くの場合、大幅に「盛られて」おり、(そして誤解を招くように描かれている)ほかの人たちの生活をオンラインで見ることは、自身自身との比較を伴う。ソーシャルメディアが私たちの気をめいらせる原因は、そこにあると考えられている。
11月に行われた北米放射線学会議では、スマホやインターネットへの依存症と見られる10代の若者のたち脳を調査した結果が発表された。特に神経伝達物質のGABA(ギャバ、ガンマアミノ酪酸)とその他の神経伝達物質との比率など、脳内の報酬系(報酬回路)に見られる化学的特徴が変化していることが確認されたという。開発者が「後悔」
ソーシャルメディアに問題があることを示すもう一つの重大な兆候は、アプリ開発者たちの一部が、依存性のリスクについて声を上げ始めているということだ。
例えば何かを通知する際、文字の色を青ではなく赤にすることは、見る人の関心を引くための意図的な選択だ。さらに、そのサイトをまた見ようと思わせるために選ばれた色でもある。
後にツイッターに買収されたアプリの「Pull-to-Refresh(引っ張って更新)」機能を開発したローレン・ブリッチャーは英紙ガーディアンに対し、「スマホは便利なツールだ」と述べた上で、次のように語っている。
「スマホには依存性がある」「引っ張って更新の機能にも、ツイッターにも依存性がある。良いものではない。開発しているときには、依存性などについて考えられるほど大人ではなかった…(アプリが持つ)マイナス面について、後悔している」
ソーシャルメディアを利用することの問題の一部には、私たちがそれを、気持ちを高めてくれるものだと「考えて」いるところにある。だが、実際には私たちを嫌な気持ちにさせる。これは、「予測誤差」であり、そのために私たちは、精神衛生に悪影響を及ぼし得るものであるにも関わらず、繰り返しソーシャルメディアを使ってしまうのだ。引用元
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