妻が怖くて家に帰れない!「帰宅恐怖症」の男性が急増中(小林 美智子) | 現代ビジネス | 講談社(1/3)

妻が怖くて家に帰れない!「帰宅恐怖症」の男性が急増中

08.18 17:12Photo by iStock

(文・小林美智子)

夫婦の現代病

あなたは、「帰宅恐怖症」という言葉を聞いたことがありますか? そして、あなたが男性なら、こんなことを感じたことがありませんか?

・妻が急に怒り出した!……でも、なんで怒っているのかがわからない
・妻が急に不機嫌になった!……でも、なんで不機嫌になったのかがわからない
・妻が急に無視するようになった!……でも、なんでいきなり無視するのかがわからない

自分としては、いつも通りなのに、なぜか、妻の態度が急変してしまう……。

ところが、男性にはその理由がまったくわかりません。そして、そのようなことが繰り返されることで、

・妻からまた何か言われるんじゃないかと萎縮してしまう
・妻と一緒の空間にいると緊張してしまう
・妻からの言葉に怯えてしまう

このような状況に陥り、夫はだんだんと家に帰ることが怖くなり、家に帰れなくなってしまうのです。

帰宅恐怖症とは、ひとことで説明すると「家=妻が怖くて家に帰れない!」夫たちのことです。

そして「帰宅恐怖症」は「夫婦の現代病」のようなものです。だからこそ、実は誰もがなってしまう可能性があるのです。では、なぜ、帰宅恐怖症が夫婦の現代病なのでしょうか?

帰宅恐怖症が増えている理由

社会情勢の変化も大きな要因になっています。

以前は、男性は生活を支えるために稼ぐ人。女性は家庭を守る人。みたいな役割分担がきっちりできていて、それが当たり前のようになっていました。

ところが、現代はどうでしょうか? 共働き夫婦が増え、役割分担があいまいになり、夫婦で協力することが必要になってきました。

ただ、稼ぐ父親の姿しかみてこなかった男性は、家事や育児にどう関わっていいのかがわからないのです。

そして、家事や育児をひとりで切り盛りしてきた母親の姿しかみてこなかった女性は、夫に、家事や育児にどう関わってもらえばいいのかがわからないのです。

このように、男性は稼ぐことだけじゃなくて、家事や育児に協力しなければならない時代なのですが……。

■男性相談者の証言

「私も妻の負担を減らそうと、できるかぎり手伝おうとするのですが、妻には妻のやり方があるらしく、自分のやり方と少しでも違いがあると、文句のオンパレードです。やればやったで文句を言われ、やらなければやらないで文句を言われます。いったいどうしたらいいんだ! 怒りもあるし正直怖さもあります」

また、女性は家のことだけじゃなく、仕事もこなし、毎日が忙しくてイライラしやすい時代なので……。

■女性相談者の証言

「共働きで子供が生まれてから、毎日が忙しすぎて、じっくり自分の気持ちに寄り添って考える時間もなかったです。ソファーにゆっくり横になった記憶もほとんどありません。満員電車に揺られる通勤の行き帰りが唯一の自分の時間でした。夫は気分転換に飲んでくることもできますが、私はそんな時間すらありません。夫ばかり自分の時間がもてて、自分で考える時間がもてて不公平だ、私ばかり仕事に家事に育児に負担が大きすぎる、という気持ちです」

このように、ここ数十年間で夫婦関係はかなり変化しているのです。では、いったい今、夫婦間でどんなことが起こっているのでしょうか? ここで、「妻が怖い!」男性の体験談をご紹介します。

頼まれた物を買い忘れただけなのに

「妊娠してから、妻のイライラがよりひどくなってきました。

たとえば、妻から頼まれた物を買い忘れてしまったりすると、『なんで忘れるの! 信じられない! 子供だって忘れないよ!』と責められ、前回は『仕事が忙しくてつい忘れてしまった』と答えたら『忘れたことをちゃんと謝ることもできないで、仕事が忙しいですまそうとするのって単なる言い訳でしょ!』とかなりきつく言われました。

そのため今回は『悪い、ごめん』と答えてみたら『謝ればすむと思っているの! 私がつわりで動けないの知っててわざと!』と言われ、どう答えていいのかわからず『そんなことないけど……ごめん』と小声で言うと『この前も忘れたの覚えている? 謝るくらいなら忘れなきゃいいでしょ! ホントあなたって何やってもダメよね。頼んだ物くらい買ってきてよね。それに謝ればすむっていうあなたの考え方、違うんじゃないですか!』とため息まじりで呆れ顔をされてしまいました。

頼まれた物を買い忘れたのは確かに悪かったけど、正直なんでココまで言われなきゃならないんだろうという情けなさと共に、謝らないと怒られて、謝っても怒らせてしまう、いったい自分はどうしたらいいんだ!と心底わからなくなっています。

ただ正直、家に帰ることに足が遠のき、仕事をしているほうが、心が落ち着くような日々です」(営業職 40代男性)

妻の顔を見ること自体がストレスに

「ある日、子供とショッピングセンターに出掛け、少ない小遣いの中から、子供が欲しがるプラモデルを買って帰ってきた時のことです。

妻から『なにそれ! また必要ないもの買ってきて! どうして余計なことばかりするの! どうせまたすぐ飽きるに決まっているんだから! この前だって買ったけど、途中でそのままだったんだから! あなたって、ホント子供のこと何も知らないんだから! 知らないんだったらせめて余計なことしないで、頼んだことだけしてよ!』と一方的にまくしたてられました。

内心、カチン!ときました。別に俺の小遣いで買っているのになんでここまで言われなきゃならないんだ!と。

でも、それを言ってしまったら、また、妻から延々と文句を言われることはわかっていたため、『ああ』とだけ返事したら、妻から『ちゃんとわかっているの! もうホント何回言っても同じようなことばっかりするんだから!』と。

何回も同じようなことって何のこと言っているだろう? と少々疑問だったが、それを聞いたら長引くと思ったのと、子供が心配そうにしていたため、自分が耐えればいいかといつものようにその場をしのぎました。

妻に、なにかを言うことにものすごくかまえてしまう自分がいます。

最近は、家に帰って妻の顔を見ること自体がストレスと感じるようになり、妻が寝静まってから家に帰るようにしています」(会社員 30代男性)

では、続いて「夫から怖がられた!」女性の体験談をご紹介します。

夫と一緒に笑い合いたかっただけなのに

「夫みずから何も言わずにお皿を洗ってくれたこともありましたが、顔はムスッとしていたので、私のためではなく、あとあと私にブツクサ言われるのが嫌だから、仕方なくやっているような気がして、心から感謝できず、洗い終わった後、水でビチャビチャのシンクを見ては『シンクぐらい拭いてよ!』と文句を言ってしまったこともありました。

当時の私は、夫のやることなすことすべてにイライラしていました。

本当は家事を手伝ってほしいわけではなく、私のしていることに気づいてほしかった、私にもっと興味をもってほしかった、私をちゃんと見てほしかった。そして一緒に笑い合いたかっただけでした。

夫の気持ち的には、よかれと思ってやっていたことも私に否定されてしまうので、もはや夫は私の機嫌を直す術がわからず、機嫌がよくなるのをただじっと待つだけ。

夫は、だんだん寄り道して帰宅時間を遅らせたり、休みも合わせなくなりました」(接客業 30代女性)

体調を気遣って、話を聴いてほしかっただけなのに

「共働きで、子供が生まれてから、私の世界は180度変わりました。産後の女性が、なぜイライラピリピリするのか、その気持ちをうまく伝える知識も言葉も気力もなく、だんだんと夫は頼りになる人から、私の気持ちがわからない人、そして、いても役に立たない人になってしまいました。

そんな感じなので、どんなに夫が良かれと思って家事をしてくれても、何だか釈然としなかったのです。本当は体調を気遣ってくれて、話を聴いてくれることが一番嬉しいことだったんですけど、なかなか私も自分が何を望んでいるのかがわからなかったので、直接は言わないものの、夫にイライラしている態度をとってしまいました。

何回か衝突をし、なんとなく仲直りをし、でもだんだんと気持ちがすれ違っているなとは感じていました。

夫が家に帰らなくなる過程は、少しずつ、本当に徐々に徐々になので、気がついたらここまで来てしまった、という感じです」(出版関係 30代女性)

お互いの「わからない!」から帰宅恐怖症に

男性と女性の体験談をお読みいただきました。実は、男女間では夫婦喧嘩の認識も違えば、コミュニケーションの取り方も違います。

例えば、妻にとっては「夫婦関係を良くするために伝えておくべきこと」だったり、話し合いだと思っていることも、夫にとっては「妻に文句や小言ばかり言われている」「喧嘩を吹っ掛けられている」と感じてしまうのです。

また、妻は夫に、何回言ってもわかってもらえないと、きつく言えばわかるだろうと思い、言い方がどんどんエスカレートしてしまいます。すると、夫は妻から責められているように感じて、妻を避けるようになります。

そして、あるとき気づいたら帰宅恐怖症になってしまっていたというようなケースがとても多いのです。

何気ない結婚生活のなか、また自分では普通と感じている結婚生活のなかに、帰宅恐怖症への危険が潜んでいるのです。

帰宅恐怖症になってしまう要因は、夫にとっては、妻がなんで怒っているのかが「わからない!」のです。

そして、妻にとっては、夫がわからないと感じていることが「わからない!」のです。このように、お互いに「わからない!」ことからはじまります。

では、どのような流れで帰宅恐怖症になってしまうのでしょうか?

〈後編に続く〉

引用元

あなたは、「帰宅恐怖症」という言葉を聞いたことがありますか? そして、あなたが男性なら、こんなことを感じたことがありませんか?

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 班目幸寛(まだらめゆきひろ) フェイスブック ページへ  友達申請を是非♪  1978年生まれの宮城県出身。  元々は建築科、専門学校卒業後、建築関連の仕事に就いたがが、当人がADHDの気があり(白に近いグレー)、その時の苦労を元にカウンセラーのキャリアをスタート。  カウンセリングのメインは発達障害のカウンセリングだったが、カウンセリングを行うにつれ幅が広がり『分かっているのにできない、やめれない事』等、不倫の恋、経営者の意思決定なども行う。(相談案内へ)  趣味はバイク・自転車・アウトドア・ミリタリーグッズ収集・国内外旅行でリスクティカー。 『昨日よりも若くて、スマート』が日々の目標。  愛読書はV,Eフランクル 放送大学 心理と教養卒業 / 臨床心理プログラム 大学院 選科履修

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