事実でも妄想でも…
松居一代さんは、困っています。全国には、松居一代さんのように困っている人がたくさんいます。では、どうすれば良いのでしょうか。
■とても困っている松居一代さん:ブログでの発言
女優で多方面で活躍してきた松居一代さんに関する記事が、マスコミを賑わしています。ご自身のブログやユーチューブによるネット上の発信、週刊文春などの記事を読むと、松居一代さんがとても困っていることがよくわかります。
「私の耳に一つのメッセージが聞こえた。サスペンスより100倍恐ろしく、怖い怖い真実をあたしは 知ってしまった。1年5ヶ月も尾行され続けている。夜は電気も使っていない。15日ほど、愛車のフィアットで1日500キロを走り日本中を逃げ回り、後部座先で寝た。自殺も考えた。週刊文春にもだまされた。」
夫である船越英一郎さんとは別居中で離婚話が進み、息子さんも家を出たとも報道されています。今、親身になって話を聞いてくれる信頼できる人はいるのでしょうか。
とても大変そうです。
テレビのワイドショーで松居一代さんの話題が取り上げられる時には、松居一代さんの話が事実だとして取り上げられます。松居一代さんの所属事務所も事実だと言っています。週刊文春は、だまされたと言われて、松居一代さんには事実誤認の部分があると言っています。
夫の船越英一郎さんとは、真っ向から証言が食い違っています。互いに、相手にひどいことをされたと語っています。松居一代さんは、夫以外の人に対しても、激しい発言をしています。
ネット上では、松居一代さんはご病気ではないかとの発言がたくさんあります。真面目に心配している発言もありますが、誹謗中傷と言える発言もあります。
松居一代さんはとても困っています。
今回のブログ問題の前にも、パジャマで外出するなど、世間からは「奇行」と言われる行動もありました。
■中高年で不思議なことを言い始めたり、周囲とトラブルになる人々
それまでは問題なく人生を生きて来た評判の良かった人が、中高年になってから、突然問題を起こすことがあります。おかしなことを言い始めたり、近所から苦情が来ることもあります。
たとえば、近所の人みんなが私に嫌がらせをするなどのことを言い始めます。最初に話を聞くと、本当にそんなことが起きているとも思えます。でも、よく話を聞くと、とてもそれが事実とは思えない内容を話しはじめます。たとえば、通りすがりの人も含めて全ての人が私に嫌がらせするといった話です。
本人はとても悩み苦しんで、どうにかしようとするのですが、その言動によって、かえって近隣とのトラブルにもなります。
このような場合に考えられることの一つは、認知症です。ただし、認知症だと生活の様々な面で問題が起きるでしょう。
次に考えられるのが、統合失調症や妄想性障害による妄想です。
■統合失調症、妄想性障害
統合失調症の中でも、妄想型統合失調症は主な症状が妄想になります。統合失調症、特に破瓜型統合失調症は青年期に発病しやすい病気ですが、妄想型統合失調症は中年期以降に発病しやすい病気です。
妄想性障害は、統合失調症ではなく、妄想のみが起きる精神障害です。
■妄想とは
妄想とは、誤った思い込みです。みんながありえないとすることを、強く信じるのが妄想です。何となくそのような気がするのではなく、本人としては事実です。現実的ではないのに、本人は強い確信を持ち、周囲から説得されても訂正できないのが妄想です。
一般の会話で使われる「こうなるといいなあ」という意味の妄想と、精神医学で使われる妄想は意味が違います。
「宝くじが当たる気がする」「僕はあの子に好かれている気がする」というのは妄想ではありませんが、けれども本当は違うのに「私は天皇家の人間だ」と信じて、誰に説得されてもその考えを変えなければ、妄想ということになります。
どう考えてもありえない妄想もあれば、事実であってもそれほどおかしくはない妄想内容もあります。
妄想には、次のような様々な種類があります。妄想の内容は多様です。
- 被害妄想:他人が自分に悪意を持っていて、自分は被害を受けていると思い込む妄想。自分は、苦しめられ、追跡され、妨害され、だまされ、盗聴され、嘲笑されているなどと思い込む。
- 監視妄想:誰かに見張られ監視されていると思い込む妄想
- 操られ妄想:電波やテレパシーで自分が操られていると思い込む妄想。
- 関係妄想:自分とは関係ないことを、自分と関係あるように思い込む妄想。
- 恋愛妄想:相手から自分は愛されていると思い込む妄想。
- 罪業妄想:自分はとても悪い人間だと思い込む妄想。
- 心気妄想:自分が病気だと思い込む妄想。
- 貧困妄想:自分はとても貧しいと思い込む妄想。
- 宗教妄想:自分は宗教的に特別な人間だと思い込む妄想。
- 誇大妄想:自分がナポレオンだったり、皇室の人間だったり、正義の味方だなどと思い込む妄想。
■ネット時代と妄想
以前であれば、妄想話を聞くのは周囲の人だけでした。けれども、現代ではブログやツイッターなどネットで情報発信ができます。その結果、混乱がさらに広がることがあります。事実無根の内容で責められる人もいれば、後になって本人が苦しむこともあります。
似たような妄想を持った人同士がネットで交流し、互いの妄想がさらに強まることもあります。
■妄想のある人との付き合い方
誰かが奇妙なことを言って来たとき、まずは本当かもしれないと考えます。でも、しばらく話を聞いて、やはり現実ではないと判断できれば、その妄想に振り回されないようにしなくてはなりません。
ただ、すぐにわかる妄想内容なら良いのですが、事実か妄想か調べないとわからないものもあります。妄想の中に、一部事実が入り込んでいると、さらにわかりにくくなります。
妄想なのに、周囲が妄想だとわからずに話の内容に乗ってしまうと、妄想はさらに強くなることがあります。
一方、妄想だとわかって頭ごなしに否定すると、相手との人間関係が悪くなったり、強く反論されかえって妄想が強まることもあります。
妄想だと判断しても、本人の悩み苦しみを否定せず、共感的に接する必要があります。妄想の内容には付き合いませんが、その人が困っていることには付き合い、相談にも乗りましょう。そして、治療へとつなげましょう。
■「松居一代」さんの助け方
全国には、松居一代さんのように困っている人がたくさんいます。妄想ではなくて実際の被害を受けて困っている人もいれば、病気である妄想で困っている人もいます。
誰かが、しっかり話を聞く必要があります。その人たちは、恐れています。人間不信になっている人もいます。その方との人間関係を修復し、適切な支援を行う必要があります。本当に困ったことが起きているなら、現実的に支援しましょう。
心の病についての知識がないために、妄想なのに妄想とわからず、問題が解決しないこともあります。心の病への偏見差別の思いを持ち、困っている人たちをさらに追い詰めることもあります。
やたらと人を病人扱いしてはいけませんが、心の病について語ることがタブー視される社会では、心の問題で困っている人を助けることは難しいでしょう。
精神疾患についての知識を持つこと、偏見差別に縛られないこと、そしてその方に寄りそい支援をすること。これが、日本中の「松居一代」さんを助けるための一歩なのだと思います。
引用元
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コンパス心理士 カウンセリング相談事務所
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班目幸寛(まだらー)
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