薬が十分効かなかった中等度のうつ病患者に対し、医師らと面接を重ねて悲観的になりやすい考え方の癖を変えていく認知行動療法を行うと、治療終了から1年後、7割がほぼ無症状になった、との研究報告を慶応大学のチームがまとめた。
治療終了直後よりも改善率が高まったという。
研究対象は、抗うつ薬を2か月間飲んでも中等度のうつ病が改善しない20~65歳の患者80人。うち半分は薬物治療のみを継続、もう半分は4か月間、薬物治療に加えて週1回45分の認知行動療法を受けた。それから1年後まで定期的に、うつ病の重症度を調べる心理検査を行い、比較した。
その結果、認知行動療法を受けたグループでほぼ無症状になった人の割合は、認知行動療法のプログラム終了直後が43%。その後も徐々に高まり、1年後に73%まで上昇した。一方、薬物のみのグループでは研究開始4か月後が20%。その1年後は43%だった。
うつ病は時間とともに改善することもあるが、認知行動療法を受けた方が改善率が高かった。
慶応大学病院の中川敦夫特任講師は「患者さん本人が、考え方や行動の幅を広げる技術を学ぶと、治療終了後も日常生活でそれを生かし、改善が続くのだろう」と分析している。
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