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メルマガ『ジャンクハンター吉田の疑問だらけの道路交通法』の著者・吉田武さんが、現職の交通機動隊員Sさんに生の声を聞く人気シリーズ。今回のテーマは、白バイ隊員が「スピード違反のオマケは不要」と言われた際の対処法について。「スピード違反者もすんなり反省。白バイ隊員が明かす秘密の検挙方法」で紹介したように、違反速度をオマケすることは多々あるようですが、それでも納得しないドライバーも多いとか。そんな時、白バイ隊員のSさんは、どのように対処したのか? その「駆け引き」について伺いました。
スピード違反のオマケは不要!面倒なドライバーとの間にある駆け引きとは?
Sさん「速度超過のオマケをすることによって、大抵のドライバーは溜飲下がってスピード違反をゴネずに認めさせる……そんなやり方を実践している警官は結構多いよ」
吉田「Sさんもそうなんですか?」
Sさん「俺もそうだよ。やっぱりスピード違反ってさ、速度を高めて走っている認識をドライバーは抱いているわけだから、呼び止めた後に速度超過のオマケをすることによって違反を認めさせるやり方は警官としてもスマートだと思うんだな」
吉田「なんでスマートなやり方なんですか?」
Sさん「警官ってさ、プライド高いだろ? で、高圧的態度で接した場合、抵抗する者かそうじゃなく恐れおののく者のどちらかになる。俺は基本、高圧的態度に出る場合、逃走した奴だけには容赦しないようにしているんだけど、交通取り締まりでデカい態度に出るなんてナンセンスだと思ってるのよ。国民の税金で生活させてもらっているのが公務員なわけで、凶悪な犯罪者でもない人に高圧的態度ってどうなのかなって常に思ってる。道路交通法違反は微罪だろ? これが事故に発展して過失が高く死亡者が出たとなったら別だけど、例えば一時停止を無視した違反者がいたとする。そのドライバーへ”おい! 何やってんだ! ここは一時停止しなくちゃいけない場所だぞ! 免許証出しなさい!”みたいな上からの態度で接する警官もいるにはいる。こういうのって警察官そのものの評判を落とすだけなんで、俺はできないしそういう態度はしたいと思わない」
吉田「無駄なカロリー使っているだけですね。警官もストレス溜まる職業だからそういう高圧的な態度になってしまうんだと思いますが」
Sさん「そうだね。ストレス溜まるのは間違いないんだけど、それを国民側へ強い態度で当たるのはおかしいこと。警官は唯一、道路交通法違反に対して取り締まりな形で上から目線な態度に切り替えて接することが出来る。その他だと国民へ職務質問程度でしか接することが出来ない。となると、道路交通法違反者へ接する方が自分自身のストレスをぶち当てることも可能なわけで、日常の業務にイライラしている警官なんかは説教しまくったり、デカい態度に出たりして検挙するわけ」
吉田「うーん、不愉快な話ですね。自身のストレスを国民へ当てる行為自体がナンセンスですよ」
Sさん「まぁ悲しいことにそれが国家権力なんだよな。で、話を戻すけどさ、吉田だって速度超過で呼び止められたらオマケされた場合、素直に認めたくなるだろ?」
吉田「すみません。僕の場合は時と場合によりますね。根本からスピード違反を認めない可能性もありますので(苦笑)。あ、僕がさっき質問したことなんですが、オマケを受け入れないドライバーにはどうなるのかなってことなんですけども」
Sさん「あー、ごめんごめん。話がそれちゃっていたなぁ。最初からスピード違反したことを認めていて、速度超過のオマケは不要ってドライバーに対してどう対応するかってことだっけ?」
吉田「そうです。最初から速度超過をオマケした形で計測したデータをもとにドライバーを呼び止めるわけですから、オマケ不要って人にはどうするのかなって単純に思っただけなんですけどね」
Sさん「実はこの状態だとドライバーとの駆け引きにもなるんだよ」
吉田「え? 意味わかんないです。駆け引きすること自体が謎すぎますが……」
Sさん「細かく説明したほうがいいか?」
吉田「はい、もちろん(笑)!」
Sさん「まず、取り締まる側は30キロオーバーで検挙すると赤キップになるので、反則金処理じゃなく罰金刑になってしまうから国庫へお金が入ってしまうことをなるべく阻止するわけだ。で、自治体を潤わす考えを持つ警官だと29キロオーバーまでの寸止め計測で速度超過で検挙する。普通のドライバー……つまり吉田みたいなひねくれた奴じゃなく……」
吉田「僕はひねくれてなんかないですよ(苦笑)。道路交通法の知識が薄くしか持ってないドライバーのことを指しているんですよね?」
Sさん「そうそう。そのようなドライバーは30キロオーバーで走行していた認識を必ず持っているはずなので、こちらから”随分飛ばしてましたねぇ。お急ぎなんですか?”など、柔らかくドライバー側へ当たり、”30キロ以上超過していましたが、29キロオーバーでオマケしておきますから”と説明し、免許証を提示してもらう。既に29キロオーバーで計測しちゃっているんで、オマケを断ってきた場合は別の対処法が必要になる」
吉田「でもオマケするって言って拒否するドライバーはほぼ皆無じゃないんですか?」
Sさん「いや、吉田みたいな面倒くさいドライバーも存在しているので、スピード違反自体を認めないケースもある。そうなると厄介になって、ここからドライバー側と駆け引きが生じてくるんだよな。こちらは29キロオーバーで計測したデータでドライバーを呼び止める。一方、呼び止められたドライバーは30キロオーバーで走行していたことを最初から認識しているもんだから、ドライバーとのファーストコンタクトが重要になる」
吉田「意味が全然わかんないです。そもそもスピード違反を認めないだけならば分かるんですが、ドライバーを呼び止めた時の最初の会話が重要になる……ってことなんですか?」
Sさん「そう。呼び止めた際に面倒くさい雰囲気のドライバーかそうじゃないかを見極めるのも重要で、言い争いにでもなった時が最大の駆け引きになるんだよ。具体的に言うと、言い争ってしまい、ドライバー側がブチ切れて”赤キップでも何でもいいから切れよ!”みたいに言われる。が、こちらは最初から29キロオーバーの計測データを取っているんで今更赤キップな30キロオーバーで検挙なんか出来るわけがない。賢いドライバーは29キロオーバーの計測データで検挙しようとする警官をけん制するべく、”赤キップでいいから、オマケしないでいいから”と言ってこられたら王手をかけられたと思っていい。実際にドライバーが出していた最高速度の計測データを取ってないから裁判まで発展すると余計にややこしくなる。さらに警官が速度をオマケしていることが公の場で発表されると、その警官の過去に検挙してきた違反者の記録まで疑いがかかり、増々ややこしくなるんだよ」
吉田「確かに駆け引きが生じてますね。善意で速度超過をオマケしてやろうという恩恵を無視された挙句、その警官側の過去の行いまで疑惑を抱かれたらたまったもんじゃないですよ。そういうドライバーにはどう対応対処するんですか?」
<次回へ続く>
image by: Redakie / Shutterstock.com
メルマガ『ジャンクハンター吉田の疑問だらけの道路交通法』
著者/吉田武
自称・交通ジャーナリストの肩書で有料メルマガへこの度参戦させて頂くことになりました。運転者への有益情報や会員の方々から募った質問を代表して警察へ聞きに行ったり等、お得なネタ盛り沢山!
引用元
メルマガ『ジャンクハンター吉田の疑問だらけの道路交通法』の著者・吉田武さんが、現職の交通機動隊員Sさんに生の声を聞く人気シリーズ。今回のテーマは、白バイ隊員が「スピード違反のオマケは不要」と言われた際の対処法について。「スピード違反者もすんなり反省。白バイ隊員が明かす秘密の検挙方法」で紹介したように、違反速度