今は子どもが当たり前にスマートフォンを持つ時代。MMD研究所が2016年に発表した「中学生のスマートフォン利用実態調査」によれば、子どもが「スマートフォンを持ったとき一番したかったこと」として第1位に『LINE』が挙げられています。
しかし、メールやチャット・SNSの利用は、便利で楽しい反面、いじめなどの問題もはらんでいます。なんと米ブラウン大学の研究者たちによれば、SNSで嫌な思いをした経験のある10代は、3.2倍もうつ病になるリスクが高まるのだとか……。
そこで今回はSNSによる“いじめのリスク”と、その対処法を上述した米ブラウン大学の研究などから明らかにしていきたいと思います。
■SNSでのいじめ被害はうつ病リスクを3.2倍も高めるメールやSNSのサービス自体が悪いわけではありませんが、親の目の届かない世界での子どものいじめが後を絶たないことも事実。
ニュースなどでも、SNSを巡る子ども同士のトラブルをよく報じています。この問題は子どもだけではありません。大人であっても『LINE』での仲間外れや誹謗中傷など、いじめのような事が起こります。大人は辛うじて受け流せるかもしれませんが、世界の狭い子どもには酷な仕打ちです。
実際に同大学の研究者たちが10代の若者264人に行った調査によれば、SNSでいじめなど嫌な思いを体験すると、3.2倍もうつ病のリスクが高まることが分かったのです。
この実験ではSNSとして『Facebook』が想定されていて、本人の性別、人種、環境、親の収入などは関係ありません。早い段階から子どもにスマホを渡すご家庭では、無視できない問題ですよね。
■子どものネットいじめ被害を最小限に食い止める方法しかし、子どものスマホ内でやり取りされるSNSの世界は、親が介入しきれない部分でもあります。では、我が子がSNSでのトラブルに巻き込まれたら、どのように対処すればいいのでしょうか?
過去に『WooRis』では、総務省や内閣府の情報を基にした「コレだけは守らせて!“子どもにスマホを持たせる”時の注意点4つ」といった記事を配信しています。
子どもには夜間ベッドにスマホを持ち込ませず、リビングに置かせるなどの工夫がスマホ中毒を予防すると紹介した記事ですが、いじめの被害軽減にも最低限の効果を発揮するはず。
勝手に中身を見てはNGですが、リビングに子どものスマホが置いてあれば、メッセージが届いたら、ディスプレイの表示や着信音で何かが分かる可能性があります。その様子があまりにも気になるようだったら、学校の先生に様子を聞いてみるといった手も打ちやすいはず。
また、カナダのマギル大学の研究結果を基にした過去記事「親の介入が難しい“子どものネットいじめ”救う鍵は一家団らんの食卓にあり」も参考になります。
被害に遭う子どもたちの抑うつ気分や自傷行動、希死念慮の有無などを調べた同記事によると、通常のいじめと比べてネットでのいじめは2.6〜4.5倍も被害者の心身に悪影響が出るとされていて、その被害は普段から家族と一緒に食事を共にしない場合、さらに悪化すると言います。
家族だんらんの時間が、子どもにSNS以外の居場所と安心感を与え、ガス抜きになってくれるのですね。忙しい毎日で家族がなかなか顔をそろえて食事ができないかもしれませんが、子どもが思春期のうちは、できるだけ夫婦で工夫して皆で一緒に食事ができる時間を作りたいですね。
以上、SNSでの嫌な体験は10代の子どもを3.2倍もうつ病にするリスクがあると紹介しましたが、いかがでしたか?
そろそろ子どもが「スマホがほしい」と言ってきかなくなってきたご家庭では、ぜひ参考にしてみてください。
(ライター 坂本正敬)
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