カジノが解禁された場合は、依存症対策が重要になる(ロイター)
カジノ解禁で最大の懸念事項とされているのは「ギャンブル依存症」の問題だ。反対派も理由のひとつに挙げている。
ただ、日本には既にこうした依存症が存在し、「カジノができると依存者が増える」との指摘は短絡的すぎるとの見方もある。カジノ専門誌・カジノジャパン編集長の篠泰樹氏は「現代社会には多くの誘惑があり、それを制御するのは原則的には理性であって個人の責任の範囲です。ただし、道を踏み外した方に救いの手を差し出せる環境整備は必要ですね。一部のパチンコ事業者がそうした活動を始めていますが、まだ何もないに等しいのが現状で、法整備化することで環境整備が行われる(カジノ解禁の)メリットを考えるべき」と語る。 カジノからの税収を使い、依存症対策を行うことが重要。多くの国がカジノ税収の5%程度を対策費に充てている。IDで入場記録を管理し、一定数を超えた場合にカウンセリング、入場制限の措置を取るなどするのは最低限の策。行政による「啓発」「防止」「救済・治療」への取り組みが求められる。 「治安の悪化」も反対理由に挙がるが、むしろカジノ周辺の治安はいい例が多い。先進諸国のカジノは国の厳しい審査を受けて事業免許を取得しており、透明性が高い。反社会勢力を運営から排除し、膨大な数のカメラと警備員を使って周辺のセキュリティーにも十分過ぎるほど注意を払っている。 もちろん、常に調査や検証を行い、より良い環境整備を進めることも重要になる。マカオは、習近平政権の「反腐敗・汚職追放キャンペーン」によって中国から訪れる富裕層が大きく減り、昨年度のカジノ収入は前年比約35%も減少した。篠氏は「ただ作ればいいというものでもありません。日本ならではの“おもてなし”などを考えていくことが大切でしょう」と話している。
▼ゲームの種類も大事、機械が相手は依存度が高い 松井氏は「カード、ルーレットなどのテーブルゲームは、単純なことを繰り返すスロットなど機械を相手にしたものより依存症になりにくい」と分析。「どのゲームを多く設置するかも大事になります」と指摘する。 また、シンガポールでは自国民から日本円で約8000円の入場料を徴収。日本でも1万円ほどを徴収する案が検討されているが、松井氏は「それをやってはいけない。取り返そうとして、逆効果になる可能性があります」と否定的だ。引用元解禁へ本格化カジノの課題は「ギャンブル依存症」対策