スクールカースト頂点も卒業後は貧困…ニッポン階層社会の現実 | DOL特別レポート | ダイヤモンド・オンライン

スクールカースト頂点も卒業後は貧困…階層社会の現実

05.16 08:00ダイヤモンド・オンライン

若者の貧困や格差の拡大が叫ばれて久しい。社会的な階層とはいつごろから、何を要素に決まるのか。『名前のない女たち 貧困AV嬢の独白』(宝島社)などの著書もあり、貧困問題について第一線で取材を続ける中村淳彦氏と、『インターネットで死ぬということ』(イースト・プレス)を上梓した北条かや氏。2人の気鋭ライターが、スクールカーストとその後の社会的階層の関係について語る。(構成/清談社)

中学生の時点で弱いオスは 女子から排除される

中村 今回のテーマは「スクールカーストとその後の社会的階層」について。主に中学時代のクラス内の立ち位置と、その後のライフステージの関連を考えていきます。北条さんは新著、『インターネットで死ぬということ』(イースト・プレス)でもスクールカーストについて触れていますよね。

北条 はい。本書では、評価経済社会のなかで悪戦苦闘してきたこれまでの私の半生を赤裸々に綴ったものなので、学生時代を振り返った時、自分がカースト的にどのポジションだったかも書く必要がありました。

中村 実際、北条さんが通った中学校は、どんな感じだったのでしょう?

北条 進学した石川県の公立中学校はけっこう荒れているところで、ヤンキーがカーストの上位に君臨していました。それと、派手で可愛い子、バスケ部やテニス部の女の子なんかが1軍。吹奏楽部やバレー部の子たちは2軍、アニメやゲーム好きのオタク、卓球部、文芸部の子は3軍なんて言われていました。当時の私はイラストを書くことや、読書が好きなタイプで、気質としては完全にオタク。でも、3軍認定されるのは絶対いやで、吹奏楽部に入部したり、ヤンキー系の女子と仲のいい子とつるんだりと、けっこう迷走していました(笑)。それくらい、どのカーストに属するかは、当時の私にとって深刻なものだったんです。

中村 読書とイラスト好きだったら、残念ながら3軍だね。クラスヒエラルキーの下の層は、上へのあこがれがあるよね。SNSで本心を知れるようになったり、大人になってから再会したりで、その想いは卒業後に知った。特に3軍のこじらせと、2軍の1軍への対抗意識みたいなのは思っていたより深かった。

北条 そうですね。私がそうでしたから。

中村 男子の場合もけっこうシビア。女性は子どものときからヒエラルキーが下の男は一貫して相手にしないので、カースト下位の男は悶々として過ごすことになる。中学生の時点で弱いオスは女子から排除される。

北条 それこそ男性は、コミュ力があったり運動ができる子が上位にいますね。その対極にいたのが、アニメや漫画が好きなオタクの子。

中村 男の3軍は、なかなか抜け出せないので深刻でしょう。現実社会での自己実現を諦めたとき、妄想の世界に切り替わりがち。二次元作品では彼らの理想の学園生活が描かれる。オタクコンテンツ業界はそれを知り尽くしているから、学園ものを量産する。巨乳の少女にモテまくるみたいな彼らの理想の学園生活を描くのが、オタクコンテンツの基本的なプロットのようです。

北条 それは初耳です。

田舎の公立は“腕力”重視 東京の私立は「親の金とコミュ力」

なかむら・あつひこ/1972年、東京都生まれ。アダルト業界の実態を描いた『名前のない女たち』(宝島社)、『職業としてのAV女優』(幻冬舎新書)、『日本の風俗嬢』(新潮新書)など著書多数。フリーライターとして執筆を続けるかたわら介護事業に進出し、デイサービス事業所の代表を務めた経験をもとにした『崩壊する介護現場』(ベスト新書)が話題に。最新作は『貧困とセックス』(イースト新書)、『漫画ルポ 中年童貞』(リイド社)

中村 秋葉原を取材したときに教えてもらったことだけど、オタクコンテンツの世界では一般論みたいだよ。

北条 親の階層は学力に影響を及ぼしますが、小・中学生の階層の基準はむしろ学力以外、容姿や腕力の強さなど原始的なものになりがちですよね。

中村 知る範疇だと、福岡の旧炭鉱地帯とか、沖縄の中部とか、神奈川県の川崎市とか相模原市みたいな、公立中学校が歴史的に荒れる地区では、中学校時代のヒエラルキーで将来の序列まで決まる部分がある。ヒエラルキーは喧嘩が強い順。負けると消える。中学1年のとき同列に100人いたのが、だんだん脱落して18歳では2~3人まで絞られる。で、彼らはスカウトされて地元のヤクザに就職みたいな。

北条 本当の意味での食物連鎖ですね。

中村 僕の場合、ヤンキーみたいな暴力性を背景にする人たちが子どものころから嫌だった。暴力のヒエラルキーを回避するために、親に頼んで私立中学に進学した。だから個人的には、都内の私立中学のヒエラルキーしか体験していない。ヒエラルキーは私立の学校しか知らないんです。

北条 都内の私立一貫校になると、序列を決める要素は何になるんですか。

中村 親の金とコミュニケーション能力だね。当時はバブルだったので実家が金持ちの子はヴィトンボストンを抱えて学校に通って、中学3年あたりから金曜土曜に六本木とか湾岸地域のディスコとかクラブのパーティーに繰り出すみたいな。同じ私立一貫男子校の他校ヒエラルキー上位や、私立女子中の女子などの間でどれだけ顔が広いかで学校のトップが決まっていた。ちなみに、自分は中流家庭でコミュニケーション能力は低いので、そこには乗り切れなかった。

北条 その時点から人脈と女自慢が始まっているわけですか。

中村 ただ彼らは、大学進学すると大学デビュー組にやられちゃう。大学デビューするのは中高時代2軍か、田舎でくすぶっていた人たち。一方で、中学からヴィトン抱えていた層からすると、大学サークルでお揃いのウィンドブレーカーを着るとかありえないわけ。中高時代の1軍は、同じ境遇の元1軍だけで集まって悶々とする。結局、中高時代1軍は親の会社を継いだりして経済的に落ちることはないが、大学デビュー組のほうが大人になってからは明らかにモテているし、生きた人脈もある。長期的には1軍、2軍は逆転する傾向がある印象ですね。

コミュ力と容姿だけでは 社会に出れば1軍に留まれない

ほうじょう・かや/1986年金沢生まれ。同志社大学社会学部卒業、京都大学大学院文学研究科修士課程修了。大学在学中、自らキャバクラで働き調査を行った『キャバ嬢の社会学』(星海社新書)ほか、『整形した女は幸せになっているのか』(星海社新書)、『本当は結婚したくないのだ症候群』(青春出版社)など「女について」をテーマに著作を発表。初エッセイ集『こじらせ女子の日常』(宝島社)が話題に

北条 それは予想していないことでした。でも、田舎の人の東京に対するコンプレックスみたいなのはちょっと共感できます。

中村 スーフリの和田(注:2003年に発覚した、早稲田大学のサークル「スーパーフリー」による輪姦事件。主犯格、和田真一郎をはじめとするサークルメンバーが常習的に女子大生をレイプしていた)とかも田舎の2軍、3軍の人でしょう。彼らの1軍になりたいエネルギーに、都内私立出身の、育ちのいい1軍は勝てない。ただ、女性の場合は容姿がよくてコミュ力が高いと1軍になりやすい。中高時代に1軍周辺にいた女子は、多くは金持ちと結婚して、今でも上流階級ですね。

北条 そうなんですか。確かに女子は、容姿とスクールカーストが正比例していますが、公立中学の場合は、そのカーストが一生固定というわけではなさそうです。1軍の子の家庭が貧困というパターンも往々にしてあります。結局、学歴もなく身ひとつでスクールカーストの後光がささない中で社会に出て、美貌しかない状態になることも多い。すると、金沢の109でバイトしたり、石川県でひとつしかないデパートの受け付けになったり、スタバの店員になったりと、経済的に見たら上流とは言えなくなる。

中村 人生では学力とコミュニケーション能力がクロスするポイントがある。コミュ力とか容姿だけで上位にいた人が、学力不足で転落するということもありえますね。

北条 あと、女性というのは不思議なもので、小さい頃に容姿がよかった人でもアラサーぐらいになると横並びになる。眼がくりくりしていた派手めの顔の子が当時のような美貌ではなくなったり、薄い顔の人が容姿を磨いて綺麗になっていたり。だから、年収と子どもの時の顔のレベルが比例しているかといえばそうでもなさそうです。

中村 じゃあ、その下の2軍、3軍だった女性たちはどうなっているのでしょうか。

北条 ある程度学歴があれば、地方に残って、結婚して共働きしつつ今は育休をとっている同級生も多い。地方に残っているリア充の子たちは、なぜかLINEのアイコンが子どもの写真。もっとアピールが強くなると、家族写真をスノー(注:スマホで撮った人物写真に動物の耳などのアイコンを付けるなどして、加工するアプリ)で盛ったりしていますね。

孤立しがちな“最下流”は 統計にも出てこない

中村 都会に出た人はどうなっていますか。

北条 自分みたいにこじらせて学問だとか都会だとか行っちゃうと、ネットで炎上したり、変な男について行ってトラブルに巻き込まれたり(笑)。男性の場合は学歴がよければ、都会に出てもいいポジションにいるけど、女性は学があっても都会に出るとどこかでつまずくことが多い。研究者を目指して都会に出ても経済的に厳しいポスドクになるケースは多いですし、民間企業に就職しても学歴の高さが悪目立ちして浮いてしまい、周りとなじめず早期に転職を繰り返すなど、女性が貧困に陥るリスクは高いです。

中村 2軍、3軍が、コミュ力や学歴を身につけて、地方に残ってうまくやれば逆転する可能性は十分あるわけね。ただ、勉強もできない、容姿もよくない、コミュニケーションが下手で家柄も良くない“最底辺”だった子は、その後も大変ですよね。

北条 風のうわさで介護をやっているとか、自殺したとかっていう話を聞くこともあります。

中村 介護か自殺か、究極の選択ですね。僕が介護施設をやっていたときには、そういう底辺の人がたくさん職員として働いていた。その地域で一番学力の低い高校の、勉強もできないけど真面目な人が近隣の介護施設にパートで入ってくるんだよね。

北条 下流女性の場合だと、結婚もせず手に職もないという人は統計で見えてこない。彼女たちは学生時代のコミュニティにも入っていないので、消息が不明なんですよ。ある日突然消える。

中村 そういう人を拾うのって、今の日本では介護か風俗ぐらいしかないよね。介護も風俗もコミュニティに属しづらいから、孤独や孤立は継続される。気の毒ですね。

北条 社会活動家の湯浅誠さんが「溜め」という概念で説明されていますが、お金、親や友人との関係性、精神的な強さなどの「溜め」が大きく欠けている人は、何かあったら一気に貧困になる。

1軍女子でも結婚に失敗すれば 最下層に転落する

中村 みんな恋愛に失敗したとか、職場でパワハラにあったとか、ちょっとしたことで転落する。女性の場合は、結婚に失敗すると特に厳しいですね。

北条 そうですね。女性は良くも悪くも、結婚が人生をリセットする手段になる。でも、専業主婦の方が離婚すると再就職も難しかったりで、その後困窮したりする。日本では夫婦が離婚した場合、ほとんどのケースで女性側が子どもを引き取ります。女性の平均賃金は男性の7割ほどしかなく、非正規雇用の割合も高いので、シングルマザーが貧困に陥るリスクは異常に高い。

中村 結婚で一発逆転もあるけど、離婚で転落することもある。そこは女性にとっては大きな賭け。女性の場合、スクールカーストと結婚は関連があるの?

北条 あくまでも私の周囲を見渡した時の話ですけど、結婚しているかどうかはスクールカーストとあまり関係がない。容姿が優れていなくても結婚する人はするし、1軍のすごく美人な人がいまだ独身で派遣ということもある。

中村 女性の場合、それこそスクールカースト的に1軍、2軍だったような普通の人が結婚して、夫がたまたまDVで離婚して深刻な貧困といったケースがあまりにも多い。話を聞いても、彼女らの人生に瑕疵があるとは思えないわけ。

北条 カーストに関係なく、女性の場合は離婚したら下流に落ちやすいということですね。

中村 スクールカーストは、あくまで原始的な本能レベルの振り分けであって、学歴や実家の資産などの付加価値が影響する大人の社会とは違ってくるのかも。身も蓋もないことを言ってしまえば、躓きやすくてセーフティネットのない今の日本で、重要なのは結局、親の家柄になるってことか。

引用元

若者の貧困や格差の拡大が叫ばれて久しい。社会的な階層とはいつごろから、何を要素に決まるのか。『名前のない女たち 貧困AV嬢の独白』(宝島社)などの著書もあり、貧困問題について第一線で取材を続ける中村淳彦氏と、『インターネットで死ぬということ』(イースト・プレス)を上梓した北条かや氏。2人の気鋭ライターが、スクールカース...

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 班目幸寛(まだらめゆきひろ) フェイスブック ページへ  友達申請を是非♪  1978年生まれの宮城県出身。  元々は建築科、専門学校卒業後、建築関連の仕事に就いたがが、当人がADHDの気があり(白に近いグレー)、その時の苦労を元にカウンセラーのキャリアをスタート。  カウンセリングのメインは発達障害のカウンセリングだったが、カウンセリングを行うにつれ幅が広がり『分かっているのにできない、やめれない事』等、不倫の恋、経営者の意思決定なども行う。(相談案内へ)  趣味はバイク・自転車・アウトドア・ミリタリーグッズ収集・国内外旅行でリスクティカー。 『昨日よりも若くて、スマート』が日々の目標。  愛読書はV,Eフランクル 放送大学 心理と教養卒業 / 臨床心理プログラム 大学院 選科履修