アスペルガー症候群の真実…東大など高学歴な人に多い説は本当か?専門家が解説


「Thinkstock」より

東大生の四人に一人が自閉症スペクトラム疑いアリ」(原文ママ)

 昨年2月、東京大学の元大学院生が自身のツイッターでつぶやいた、こんなツイートがインターネット上で話題になった。自閉症スペクトラム障害(ASD)とは、対人コミュニケーション能力や想像力、社会性などに困難さがあり、限定された行動、興味、反復行動がある障害で、「自閉症」「アスペルガー症候群」などと呼ばれている障害を統合した診断名だ。

 特にアスペルガー症候群は、知的能力は正常範囲かそれ以上であり、言語能力にも発達の遅れなどが見られないため、他人から理解されにくい。しかし、臨機応変な対人関係が苦手で、自分の関心・やり方・ペースの維持を最優先させたいという本能的志向が強いという特徴がある。

 冒頭のツイートをしたのは、三味線奏者・芸人として活動する萩原遼氏。筑波大学中退後、仕事をしつつ中央大学法学部通信教育課程を卒業、東京大学大学院法学政治学研究科に進学したという異色の経歴の持ち主だ。

 萩原氏のツイートは、東大生の4分の1がASDではないかと投げかけたもので、その衝撃的な内容に、現役東大生のみならず、脳科学者の茂木健一郎氏がこの話題についてブログで私見を述べるなど多くの著名人も興味を示し、社会に波紋を呼んだ。

 発言の真意について、萩原氏本人に話を聞いた。

集中力が高く、とことん好きなことを突き詰める

萩原氏のツイート内容をニュースサイトが取り上げたこともあり、ネット上でもさまざまな議論が飛び交ったが、当の本人はどう思っているのか。

「J-CASTニュースさんには『あまりに断定的な主張に疑問の声が寄せられていることも確かだ』と書かれましたが、そもそも僕は『東大生の四人に一人が自閉症スペクトラム疑いアリ』としか書いておらず、まったく断定などしていません。あくまでツイートですから、真意も裏もありませんし、まして差別的意図など皆無です。なぜなら、僕自身自閉症スペクトラムですから」(萩原氏)

 意外にも、自身が自閉症スペクトラムであるという驚きの告白が返ってきた。萩原氏は子供の頃から生きづらさを感じてきたそうで、「空気が読めないという自覚がある」と語る。半年以上病院に通い、自閉症スペクトラムと診断されたという。


「僕は自覚があったので、診断されても何も思わなかったけれど、自分がASDだという自覚がまったくない人もいます。具体例としては、本人に悪意はまったくないのですが、女の子に対して『最近太ったね』とか平気で言ってしまうのです。太ったこと自体は厳然とした事実で、間違ったことは言っていないわけですが、『それは言ってはいけない』というルールをASDの人は理解できないのです。

 また、他人にアスペルガー症候群呼ばわりされたら、その人が傷つくということが想像できないのも特徴です。僕が大学院に通っていた頃、東大の中央食堂で工学部の学生たちがご飯を食べながら『おまえアスペルガーだよ』『おまえのほうがアスペルガーだろ』『いや、こいつが一番アスペルガーだよ』って楽しそうに談笑していた姿を見ました。その場に実際にアスペルガー症候群の診断を受けた当事者がいたら傷つくのではないかという想像力が欠如しているのです」(同)

 一方でアスペルガー症候群は、何かと引き替えに何かの能力が高いという傾向があるのも特徴で、「コミュニケーション能力は低いが、学習能力は高い」という人も少なくない。だが萩原氏は、その典型例として東大生を引き合いに出しているわけではない。

 萩原氏は、「『東大にはアスペルガー症候群の疑いがある人が多い→アスペルガー症候群の人は学力が高い→学力が高い人はアスペルガー症候群』というのは飛躍しすぎ。アスペルガー症候群の人は概して集中力が高く、また好きなことはとことん突き詰めるから、うまく受験にそれらがハマった人たちが多いのではないかと思う」と持論を述べる。

 さらに、東大に入って一番驚いたのは、「ASDに対する重厚なサポート体制があること」だという。これは東大が2010年に立ち上げた「コミュニケーション・サポートルーム」を指しているという。

「僕も興味があったので行ってみましたが、悩みを共有している者同士の昼食会や、あるいはカウンセラーが話を聞いてくれたり、そこからさらに医師を紹介してくれたりと、かなり対応が手厚いのです。だから、東大がASDのある人にすごくやさしい大学であるのは間違いありません」

みんな多少なりともASDがある?

 萩原氏が東大にASDの人が多いと思ったもうひとつの理由は、東大に代々伝わる「書き起こし文化」の存在だという。


「どこの大学にも大概あると思うのですが、東大は異様に授業の音声を一字一句テキストにする『書き起こし文化』が盛んです。書き起こしグループをつくって、授業によって『このコマは誰、このコマは誰』という具合に、当番制にして書き起こしをつくるのです。僕は『そんなのは必要ない。聞けばいいのに』と思っていたのですが、どうやら文字で見ないと頭に入ってこない人が多いようです。たとえば、僕は聴覚認知能力が高いのですが、逆に聴覚認知能力が低く授業を聞いていても頭に入ってこないという友人がいました。そのため、彼もやはり書き起こしをしていました。こういうことも、東大にはASDの人が多いのかなと思った要因のひとつです」(同)

 自身の東大在学中の実感に加え、「四人に一人」というのも「複数の人から聞いて裏取りをしたうえでの数字」だというが、結局、萩原氏は一連のツイートで何を伝えたかったのか。

「強いて挙げるなら、『身近にASDの人はこんなにいる』という事実を、より多くの人に知ってもらいたいと思います。たとえば、コミュニケーション能力が低い人に対して、いちいちキレるのではなく、諭してあげることも必要だと思うのです。だから、本人に悪意があるかないかを見極めることが、健常者であろうとASDであろうと必要な能力だと思うのです」(同)

 つまり、他人の発言にキレる前に、発言の意図を汲み取る努力が必要だと訴えている。

「つまり、悪意なく失言をしてしまう人もたくさんいて、もしかしたら、その人たちはASDかもしれないし、あなたもASDかもしれないと言いたいのです。ASDはそれぐらい身近なもので、あくまでもASDというのはスペクトラム(連続体)なので、ASDの度合いが0%という人は、そもそも世の中にほとんどいないのです。そのなかで、おそらく東大は突出してASDの度合いが高い人が多いようだというのが僕の感想です」(同)

 萩原氏のツイートに関して東大の広報に取材したところ、「卒業生のツイートに対する東大としてのコメントは特にありません」との回答であった。また、コミュニケーション・サポートルームの存在については、「自閉症スペクトラムの診断のあるなしにかかわらず、コミュニケーションに不安のある学生からの相談を受け付けている機関です」と説明があった。

東大にはアスペルガー症候群の学生が多い?

ところで、実際のところ、東大にはアスペルガー症候群の学生が多いのだろうか。

 ASDの研究で名高い早稲田大学教育・総合科学学術院教授で教育学博士の梅永雄二氏は、この疑問を肯定する。

「研究者の間でも、東大の学生の4分の1はアスペルガー症候群だろうということは、昔からいわれてきたことです。ただし、実際に調査したわけではないので、正確な数値ではありませんが、東大に限らず、優秀な大学ではアスペルガー症候群の学生が多いといわれています。また、理科系の学部ではさらに多い傾向にあり、東京工業大学では5割前後がそうではないかと推測されています」(梅永氏)

 東大の「書き起こし文化」も、アスペルガー症候群の学生が以前から多かったことが背景にある可能性が高い。

「アスペルガーに限らずASDは、視覚優位という特徴があります。目から入る情報については極めて理解が速いのです。ただし、情報の全体像ではなく、一部を集中して見るといったことがあります。それは、トンネルビジョン、シングルフォーカスなどといわれますが、一般の人が気づかないような細かな点を見つめていることがあります。聴覚から入った情報も、視覚的に脳裏に残して超人的な記憶能力を発揮することができる人もいます」(同)

 優秀な大学にはアスペルガー症候群の学生が多いというが、それはなぜなのか。

「そもそもアスペルガー症候群は、知的水準が高い自閉症のことをいうので、学力は高くなります。また、自分の好きな分野については、とことん突き詰めるので、偏差値の高い大学へ入れる可能性は高いです。さらに、研究する仕事に向いているので、研究職に就いて高い成果を上げている方が多くいます。反対に、対人関係を要する仕事に就くと、トラブルを起こしやすい傾向があります。実際、大学の研究者の中にはアスペルガー症候群の人が多いですよ」

 つまり、萩原氏が“肌感覚”として得た「東大生の4人に1人がASD」というのは、荒唐無稽なことではなかった。アスペルガー症候群を持っている人は、周囲が驚くほどの能力を発揮することも多く、過去の偉人の中にもアスペルガー症候群だったと推測されている人物は数え切れないほどいる。今後もアスペルガー症候群をはじめとしてASDの方たちによって、偉業が成し遂げられることも多く見られるだろう。
(構成=青柳直弥/清談社、編集部)

引用元

「東大生の四人に一人が自閉症スペクトラム疑いアリ」(原文ママ)昨年2月、東京大学の元大学院生が自身のツイッターでつぶやいた、こんなツイートがインターネット上で話...

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